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9・11/ノーム・チョムスキー

9・11
ノーム・チョムスキー

My評価★★★★★

訳・解説:山崎淳
文春文庫(2002年9月)
ISBN4-16-765128-9 【Amazon
原題:9・11(2001)


2001年9月11日のアメリカで起きた同じ多発テロから8日後、同年9月19日から10月5日までに行われた、ノーム・チョムスキー(現マサチューセッツ工科大教授)と、各国インタビューアーとのインタビューをまとめたもの。誤ってはいけないのは、チョムスキーはアメリカへの愛国心故に発言しているのです。
巻末に米国国務省が2001年5月に発表した「付録 世界のテロリスト集団」のリストがあります。

まずは解説(p143)から引用。
第二次世界大戦後、米国が戦争、爆撃をした国
中国(1945-46、1950-53)、朝鮮(1950-53)、ガテマラ(1954、1967-69)、インドネシア(1958)、キューバ(1959-60)、ベルギー領コンゴ(1964)、ペルー(1965)、ラオス(1964-73)、ベトナム(1961-73)、カンボジア(1969-70)、グレナダ(1983)、リビア(1986)、エルサルバドル(1980年代)、ニカラグア(1980年代)、パナマ(1989)、イラク(1991-99)、ボスニア(1995)、スーダン(1996)、ユーゴスラビア(1999)、そして、現在、アフガニスタン
出典:『ピーナッツ・バターにまみれた野蛮』アルンダーティ・ロイ

1945年の中国からアフガニスタンまで、アメリカは21カ国を爆撃しているというわけです。単純に平均すれば2.7年に1度、どこかの国を爆撃していることになります。

サブタイトルは「アメリカに報復する資格はない!」。なぜアメリカに報復する資格がないのか?著者は、アメリカが「テロ国家の親玉」であるからと言う。最も明白な例としてニカラグアを挙げています。
1986年に米国は司法裁判所で「無法な力の使用」(国際テロ)の廉で有罪を先告された上、すべての国(すなわち米国)に国際法遵守を求める安全保障理事会の決議に拒否権を発動したことを想起すべきかもしれない。(p24)
1980年代にニカラグアはアメリカによって壊滅的な攻撃を被る。ニカラグアは国際司法裁判所に提訴した。裁判はニカラグアに有利となったが、アメリカは判決を斥け、直ちに攻撃をエスカレートすることで応じた。
そこでニカラグアは国連総会に訴えたが、2年続けてアメリカとイスラエル(一度だけエルサルバドルも加わった)が拒否。

また、スーダンのアル-シーファ薬品工場の破壊も挙げられています。
この薬品工場では、マラリアや結核などの治療薬や獣医薬を供給するなど、スーダンの主要な薬品の90%を生産していたそうです。この薬品工場が破壊された結果、人権監視機構の報告では日々50万人以上の南部人が死に、国連の推定では240万人が餓死の危険に晒される事態となったそうです。
50万人という数字は、ちょうど高知県・南国市や大分県・佐伯市の人口に相当します(総務省統計局統計調査部国勢統計課による『国勢調査報告』(平成12年10月1日)より)。日本の中小規模の一地方都市人口に相当する人々が、日々死亡しているということなのです。本来ならば助かるはずの命が、です。
スーダンは、国連に爆撃の正当性を調査するよう求めたが、それすら米国は拒否した。(p49~50)

ニカラグアとスーダンに対する非合法なアメリカの軍事行動は、テロとどこが違うのか? 実際に何が行われ、アメリカ政府はどのような論理に基づいて実行し、正当性を主張しているのか。このことを著者は様々な事例に基づいて分析しています。残念ながら翻訳がイマイチですが。

テロという言葉について言えば、米国の正式文書から引用した字義通りの意味と並行して、プロバガンダ的な使い方もある。残念なことに、こちらの方が標準的である。敵によってわれわれあるいは同盟国に対して行われたテロ行為を指すのに使われる。こうしたプロパガンダ的な使い方が事実上、普遍的なのだ。万人が「テロを非難する」のはこの意味である。ナチですら、テロを激しく非難し、彼らが「対テロリズム」と呼んだ作戦行動をテロリストのパルチザンに対して実行している。(P99)
著者はアメリカを批判しているが、だからといってアメリカ以外のテロ行為を擁護しているわけではありません。すべてのテロは撲滅すべきだとしています。そのためには原因を究明しなければならない。経済のグローバリゼーションや文化的覇権がアメリカに対する憎しみを創り出しているのではない。それは西側の知識人にとって好都合な考えだと言う。
アメリカが武器製造の輸出大国であることは自明の事実です。人道的介入という名目で、各地の紛争に軍事介入していることも然り。しかし、1987年の国連総会におけるテロリズムに対する統括的条約に、アメリカとイスラエルが反対している(棄権はホンジュラス)という。こられの意味するところは何か。

この本については賛否両論あるでしょう。しかし、本来、賛成や反対ができるほどの情報が公開されていないのです。全ての情報が公開されることは国策上あり得ないでしょうけれど。
仮に公開されたとしても、大切なことは何が行われてどんな影響が引き起こされたのか事実を歪曲させず、著者の言うように法の下で明らかにされなければならないと思います。(2002/9/9)

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