スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アルプスの花物語/エルンスト・クライドルフ

アルプスの花物語
文・絵:エルンスト・クライドルフ

My評価★★★☆

訳:矢川澄子
童話屋(1982年11月)[絶版]
ISBN4-924684-13-9 【Amazon
原題:Alpenblumenmärchen(1977)


冬の眠りから目覚めたクロッカスたちの輪踊。氷河の仙女、遊びに興じる釣鐘型の花ソルダネル。
丘で陽を浴びるアネモネの姉妹たち、ゼウスの怒りをかったアドニスの死を嘆くアネモネ。
崖縁に佇むエーデルワイス、小川で遊ぶプリムラ、谷川を流されてゆくアスターの赤ちゃん・・・。
アルプスにひっそりと咲く花の精たちの、朴訥とした営みを描く詩画集。

********************

18点の絵にそれぞれ詩がつくのですが、日本になじみのない花の詩6点を割愛したとのこと。
クライドルフの描く花々の妖精は、素朴で実に伸び伸びしています。アルプスの大自然あってこそ、花の精が生き生きと感じられるのでしょう。
また、花の精たちの喜びや悲しみは、とても自然体のように思われます。その姿は擬人化されて描かれていますが、人間臭さが感じられないんですよね。姿はどうあれ、あくまでも花であって人とは違うんですよ。
おそらく人里近くに棲む花の精だったらこうは描かないだろう、自然の中にあってこその花の精なのだと思います。
上手く説明できないのですが、ヴィクトリア調の花の精と比べてみると違いがわかると思います。(2003/10/19)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

妖精たち 小人たち/エルンスト・クライドルフ

妖精たち 小人たち
文・絵:エルンスト・クライドルフ

My評価★★★★☆

訳:矢川澄子
童話屋(1982年11月)[絶版]
ISBN4-924684-12-0 【Amazon
原題:Bei den Gnomen und Elfen(1928)


妖精や小人を描いた詩画集。詩と絵は四季の移ろいに合わせ進行していきます。
春、黄色の陽射しの照る木蔭で、生れたばかりのヒナギクの赤ちゃんを抱くお母さん。ウサギと戯れる小ヒナギク坊やたち。花の庵で暮らす老賢者の小人の元へ、クルミの手土産を持参して詣でる花の精。
枯葉にまたがって、星空の彼方へ飛んで行こうとする小人。ヒメオドリコ草の周りで踊る蛾の妖精少女たち。
カタツムリに乗って走る小人と魔女のホウキ草。蜜を分け合う、美しい蝶の妖精婦人。ひっそりと静まった星空の下で、うたた寝する小人の夜番・・・。
木蔭や草むらの影でひっそりと佇む妖精や小人たちを、気品に満ちた絵で静謐に描いています。

********************

人間の目の届かない森や草むらで、生命を謳歌する妖精と小人たち。そんな妖精と小人たちを驚かさないように、離れた場所からそっと見守っているかのような絵。絵の構図から、観察者としてのクライドルフの視点・視線が強く感じられました。
ラストを飾る『小人の夜番』の詩が特に気に入りました。

小人の夜番

小人の夜番はくたびれて
まぶたもいつしかあわさった
あたりはそよとの風もなく
こおろぎ一ぴき寝そびれて
かすかにうたっているばかり

空にはまたたく星のむれ
木かげのほたるもちらちらり
かたつむりがそっと通りすぎる
夜番のじゃまをせぬように     
よくおやすみといのりながら
よくおやすみといのりながら


情景が目に浮かぶようではないですか?飾らない素朴な詩は、クライドルフの絵そのものといった感じです。
この詩からうかがえるように、情景が先にあって、詩はそれを補足するものののような印象を受けます。クライドルフは木蔭や草むらの花々や虫たちに、こんな情景を重ね合わせて視ていたのでしょうね。(2003/5/15)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

花を棲みかに/エルンスト・クライドルフ

花を棲みかに
文・絵:エルンスト・クライドルフ

My評価★★★★

訳:矢川澄子
童話屋(1983年11月)[絶版]
ISBN4-924684-18-X 【Amazon
原題:Lenzgesind(1926)


花や昆虫の妖精たちが、野原で戯れる様を描いた絵本。ここでいう妖精とは、花や昆虫たちを擬人化したものだと思ってください。
春はまま母パンジーの季節。そして毛虫たちがダンスをし、かたつむりの奥さんは銀のマットを編む。夜は仮面舞踏会。三色すみれの子どもたちは丘の牧場で何をしているの?
やがて夏になり、そして夏の日が色褪せてゆき、小川に花々が捧げられます。蝶たちは暗い水面をかすめ枯野を過ぎ、来るベき季節を探しにどこかへ向かう・・・。
他にもいろんな場面があります。どれも春と夏という短い季節での花と昆虫たちのささやかな喜びが、そっと見守るように描かれています。

********************

クライドルフ(1863-1956)はスイスのベルン生れ。その生涯のほとんどをアルプスで過ごし、生涯に25冊の絵本を作ったそうです。
アルプスの空の下では、花や昆虫たちが戯れるのは珍しいことではなくて、当然なことのように思われる。そんな絵本。
文章は古典的でちょっとカタイかなぁと思われるのですが、矢川澄子さんは流麗に訳していると思います。

クライドルフの絵は、例えば天日で干した洗いたてのシーツのように、ピンと張って清潔で心地良い。
でも決して張り詰めているのではなく、潤いがあるのです。華やかではなく奇をてらってもおらず、自然体なんですよ。
それは色彩もですが、清澄な空気の透明感によるものではないのかな。
ヒンヤリと香気ある山の空気が感じられ、行ったことはないけれども、まさしくアルプスの空気そのものといった印象。
山または高原の空気は下界よりもピンと張った感じがして、呼吸すると体内が清浄になりそう。そんな感じに彼の絵本は、読んでいると清浄な心持ちになるのです。(2001/9/26)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。