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八朔の雪/高田郁

[みをつくし料理帖]八朔の雪
高田郁

My評価★★★☆

ハルキ文庫・時代小説文庫(2009年5月)
ISBN978-4-7584-3403-4 【Amazon

目次:狐のご祝儀 ぴりから鰹田麩/八朔の雪 ひんやり心太/初星 とろとろ茶碗蒸し/夜半の梅 ほっこり酒粕汁/巻末付録 澪の料理帖


文庫書き下ろし、連作時代小説。
神田明神下御台所町の蕎麦屋『つる家』の調理場で働く澪。生まれも育ちも大坂の澪は、幼い頃に両親を亡くして天涯孤独の身となった。だが、大坂の名料理屋『天満一兆庵』の女将の芳に拾われ、店に奉公していた。
店が火事に遭い、主人夫婦の嘉兵衛と芳は、澪を伴って江戸に出てきた。息子の左兵衛に任せている江戸店を頼ってきたのだが、左兵衛の吉原遊びで借金がかさみ、店はすでに人手に渡っていた。しかも左兵衛は行方知れず。意気消沈した左兵衛は急逝。江戸で澪は芳と二人きりになってしまった。
澪はつる家の主人・種市の好意で、調理場で働くことになった。澪は種市への恩返しとして、店の「売り」になるような肴を作ろうとするのだが、慣れない江戸の食材と味に戸惑う。やがて種市が腰を痛めてしまい、蕎麦が打てなくなった。種市は蕎麦をやめ、店を澪の思うままに任せようとする。
周囲の人々に見守られながら、天性の味覚と根性で、料理人としての道を歩み始める澪。しかし、秀でた才能ゆえに妨害されて・・・。

********************

天涯孤独となり、引き取られた料理屋は火災で焼失。主人夫婦と共に江戸へ出てきたが、不幸が重なる。そんな不幸のオンパレードの澪。見た目はもう一つパッとしないが愛嬌があり、明るくて気立てがいい。味覚には天性のものがあり、満身で料理に取り組む。やがて江戸で評判をとる。
澪の才能が脚光を浴びるのだが、江戸の料理屋に目をつけられ、次々と妨害される。しかし澪はあきらめず、周囲の人々の協力によって、一つひとつ苦難を乗り越えていく。まさに『朝の連続テレビ小説』的展開。連ドラの好きな人にはストライクゾーンな時代小説だろう。
しかし、正直言って私は連ドラ好きじゃないんだな。連ドラも本書も、主人公は不幸に遭いながらも明るく健気に生きていく。決してグレない。紆余曲折を経たとしても、最終的には苦難をクリアできることが前提になっている。つまり結果がわかっているのだ。努力すれば難題は必ず解決されるのだ。
とは言え、面白かったんだよ、これが。それはやはり主人公の健気さゆえなのだろう。読み手の意表を突くことはないけれど、安心して読める作品。

高田郁(たかだ・かおる)は、1993年にレディスコミックの原作者(ペンネームは川富士立夏)としてデビュー。2007年に『出世花』で作家デビューを果たす。小説家としては新人。だが新人は思えないほど、完成度の高い作品。ソツがない。問題は今後、いかにしてパターンに陥らないようにするかだろう。
気になるのは、江戸の名料理店が澪たちを妨害するのだが、その妨害方法が有り得ない。まるっきりマンガの世界だ。
江戸で一、二を競う名料理屋なら、それなりの経営手腕を持っているだろうし、ある程度は政治的な感覚もあるだろうから、戦略的になるのが普通だろう。なにも危険な方法をとらなくても、他にいくらでもやりようがあるのだから。その辺り、この作家は勤めたことがないのかな、と思った。
帯にある角川春樹の山本周五郎の『さぶ』以来の感動!十年に一冊の傑作に、涙が止まらなかった。というのは売り言葉としてはいいが、言い過ぎ。現時点では山本周五郎とは比べられないし、十年に一冊というほどではない。だからといって作品を貶めるわけではない。
私としては今後、大いに期待できる作家だと思う。シリーズ化されるだろうから(実際、伏線がある)、次作も読んでみたい。(2009/7/31)

花散らしの雨
想い雲

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