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愛神の戯れ 牧歌劇『アミンタ』/トルクァート・タッソ

愛神の戯れ 牧歌劇『アミンタ』
トルクァート・タッソ

My評価★★★☆

訳・解説:鷲平京子
岩波文庫(1987年5月)
ISBN4-00-327101-7 【Amazon
原題:AMINTA(1573)


戯れに愛の矢を射る愛神アモーレ。そのアモーレが、母親の美神ヴェーネレから逃げ出した。ヴェーネレが息子アモーレの行いと愛の矢を、自分の思いどおりにさせたがるからだった。アモーレは愛の矢のみを持って、牧人の住処に身を潜める。
何年も前に愛神は、牧人のアミンタの胸に愛の矢を射っていた。そして今度は、頑なで非情なニンフのシルヴィアの胸に、傷を負わせるつもりだった。
シルヴィアは年下の友だちダーフネに、愛の喜びを受け容れるよう説かれる。けれどもシルブィアは、狩りに勝る喜びはないとダーフネの言葉を退け、愛を拒み続ける。
牧人のアミンタは幼なじみのシルヴィアに求愛しているが、彼女に頑なに拒まれた上に避けられ絶望していた。ティルシはダーフネの力を借りて、アミンタの愛を成就させようとする。
一方、獣神サテュロスは、捧げものに見向きもせず拒むシルヴィアを、力で奪おうと企んでいた。サテュロスに襲われたシルヴィアを、アミンタは助ける。だが、それでも彼女は冷ややかに拒み、礼も言わずに去った。そのシルヴィアが狩りで襲われて死んだという!?絶望したアミンタは死を選ぶのだが・・・。

********************

トルクァート・タッソ(1544-1595)はイタリア・バロック期最大の詩人。イタリア美術上よく引き合いに出されるため、知っておきたい文学者の一人なので読んでみた。
タッソは、フェッラーラ公国エステ家のアルフォンソ2世に仕えた宮廷詩人。他の代表作には長篇叙事詩『エルサレム解放』があるという。
解説によると、『アミンタ』は1573年に執筆・上演されたという。『アミンタ』によって完成された牧歌劇は、その形態を土壌をとして引き継がれ、今日のオペラが生まれたのだそうだ。また、絵画の分野にも影響を及ぼしたらしい。詳しくは本書解説を。

タッソの生きた時代は対抗宗教改革のころ。その他にも様々な歴史的出来事が起こっているが、ともかく西欧が激震していたころ。そんな時代に牧歌劇とは、なんとも悠長なと思うのだが・・・。斜陽の時代を迎えたとはいえどもエステ家のこと、宮廷人は暢気だなあ。とは言いつつも、この作品から、当時の宮廷の息吹を感じることができるような気がする。
解説を読むと、タッソの眼差しは非宮廷人、非支配階級、貧しい民衆へ向かっているという。宮廷劇であるにもかかわらず、当初から民衆に向かって開かれた作品であったという。確かにそう言うことはできるだろうと思う。非常に重要なことなのだけれど、現代的感覚で読んでしまうため、つい読み落としてしまうんだなあ。

結末はパッピーエンドだが、必ずしもそうとは言い切れない部分がある。エピローグでは愛というものの性質と、その作用が語られる。愛はときに人から理性を奪い、狂わせる。はじめは甘やかな愛でも、やがて苦しみに変わり血を流すこともある。
時はうつろうもの、人もうつろう。愛もまたうつろうもの。けっこうシビア。よく読むと、エピローグ以外でもシビアさが窺える。牧歌的情景でロマンティックぽい内容なのだが、ロマンティックさの裏や言動の端々に、怜悧さが潜んでいるような印象を受ける。(2006/12/5)

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