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最後の巨人/フランソワ・プラス

最後の巨人
フランソワ・プラス(絵・文)

My評価★★★★

訳:寺岡襄
プックローン出版(1995年12月)
ISBN4-89238-613-8 【Amazon
原題:Les Derniers Géants(1992)


好奇心から『巨人の歯』を購入した私アーチボルド・レオポルド・ルスモアは、インチキだと思っていたのに本物であることに気づいた。歯には文様があり、それが巨人族の国の地図であることを発見。1849年9月29日の朝、私は巨人族の国への探検に出発した。

東インド会社の貿易船に乗ってインド経由でビルマに入り、探検隊を組織して未踏の奥地へと進む。私は多大な犠牲をはらい、たった一人で巨人の国に辿り着いた。そして親切な巨人たちと暮らすことになった。巨人たち全身にはそれぞれ入れ墨みたいな模様でおおわれていた。その模様が周囲の環境、自然界の影響によって変化することに気づく。
ようよう故郷イギリスに戻った私は、巨人たちの生態を記した著作を発表する。バッシングを受けたが、やがて理解者が現れ探検の資金を得て、再び巨人の国へと向かう。しかし、そこで待っていたのは・・・。

********************

これは絵本です。フランソワ・プラスはイラストレーター及びシナリオ作家なのだそうで、本作が初めての自作絵本になるとか。絵本というよりも、イラスト付きの本という感じがします。文章では伝えきれないイメージが、水彩で鳥瞰的に描かれているような感じがします。
物語はアーチボルド・レオポルド・ルスモアの手記という形で語られます。巨人の国に辿りついたアーチボルドはそこで巨人たちと仲良く暮らした後、帰国して彼らのことを9巻もの著作にて世間へ公表しました。けれども、この著作が結果的に悲劇を生むんです。アーチボルド自身にはまったく悪気はなかったのですが・・・。

ここで起こる悲劇とは、異文化に遭遇したとき、歴史的に人類が繰り返してきた過ち。過ちとはいうものの、その正体は人間の「貪欲さ」であることを作者は暴いています。
また、巨人はたんなる異種族以上の存在として描かれています。巨人たちの模様が自然環境、つまりは自然界の森羅万象を映していて、このことが物語に深みと、現代的な意味を与えていると思うんです。この独創的なアイデアは、ガイア仮説の延長線上にあるようにも思えるんですけど。

本作はフランス文学者協会の1992年度児童文学大賞受賞作ということですが、子どもを対象とは限らず、大人が読んでも考えさせられる作品だと思います。そして、絵本という枠にとらわれない、文学的な深みをもった作品。特にアーチボルドの慙愧の念は、大人こそが理解しなければいけないことではないでしょうか。(2008/7/12)

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