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歌行燈/泉鏡花

歌行燈
泉鏡花

My評価★★★★★

解説:久保田万太郎
岩波文庫(1988年9月改版)
ISBN4-00-310272-X 【Amazon


月の冴える霜月は桑名の停車場に降り立つは老人二人。一人は膝栗毛と洒落こんだ弥次郎兵衛。だが肝心の喜多八はおらず、連れは七十路の捻平。車夫に走らせるは、土地一軒きりの旅籠屋「湊屋」。
時同じくしてうどん屋の軒先に、博多節を唄う弾き流し芸人が現れた。目鼻立ちのキリリとした若い男芸人は、門附ではなくうどんを所望した。この若者、なぜか道行く按摩の笛の音に慄く。やがてうどん屋の女房に、三年前におこした按摩との因縁話を語りだした。
一方、湊屋の二老人は芸妓を上げようとするが、生憎と皆出張っており、ただ一人手空きだったのがお三重。このお三重、唄も三味もできぬときたが、たった一つ舞いだけができる。ところが、三重の舞に捻平が顔色を変えた。三重は捻平に問われるまま語り、いつしか薄幸な身の上を明かす。
弾き流しの芸人と三重、二つの身語りが交錯するとき・・・。

********************

泉鏡花(1873(明治6)-1939(昭和14))が、38歳時の1910(明治43)年に発表した小説。38歳でこういうものを書いたとは、並みの才能ではないよなあ。独特な句読点が工夫されていて、それが文章にリズムを生んでいる。
当時の風俗に関わる言葉や言い回しで、意味のわからない箇所が若干あるけれども、気にせずリズムを崩さないよう読み進める。するとテンポとリズミカルさが独特な節となる。歌舞伎の言い回しが近いのではないかと思う。
物語の読みどころは、二つの語りが交錯するところ。そこから現出する優艶・悠遠な世界に鳥肌が立つかのような感覚を覚えた。
文庫の紹介文で「陶酔境」という言葉を遣って評しているが、実に納得できる。すーーっと吸い込まれるかのような幽玄さは、まるで此世ならぬ異界のようでもある。芸に憑かれたごとく没入する姿は、美しくもどこか艶かしい妖しさを秘めていないだろうか。(2007/9/8)

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