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黒いピエロ/ロジェ・グルニエ

黒いピエロ
ロジェ・グルニエ

My評価★★★☆

山田稔訳
みすず書房(1999年1月刊)
ISBN4-622-04674-1 【Amazon
原題:LE PIERROT NOIR(1986)


秋の深まる11月。サン・マルタンの祭りの縁日は11月いっぱい続く。縁日にはメリーゴーランドがあり、『黒いピエロ』が現われる。時はメリーゴーランドのように回りうつろいゆき、若者だと思っていた黒いピエロは実は老人となっていて、いつしか縁日から消えていた。
主人公は回想する。子ども時代に初めて訪れた上流階級のラパッロ邸。その一人息子でデブのシャルル・メルラン。一族とは別に孤高に生きるシャルルの姉アンヌ=マリへの憧れ。人を卑しめつつ友だちであることを強制するジャン・ルグレ。貧しくみじめな子ども時代から抜け出したいジェニア。二人の男の間を漂うアンナ・デュフレーヌ。

やがて戦争が始まり、シャルルは愚かさゆえにドイツ軍に加担していた。だが終戦後に国外へ逃亡する。アンヌ=マリは、嫁ぎ先で夫を亡くして女手一つで子どもを育てながら、ナチに追われるレジスタンスの逃亡を助ける。
いつしかラバッロ邸には誰も住む者がいなくなり、屋敷は売られてしまった。そして、誰の上にも時は平等に過ぎていった。

********************

うつろいゆく時の象徴として、幾度もメリーゴーランドが登場する。そのたびに過ぎ去った歳月が語られる。人は人生の老境で何を想うのだろうか・・・。
人生をメリーゴーランドに喩えて懐古するとき、いくつもの場面が浮かび上がっては消えてゆく。浮かび上がっては消えていくイメージの端々は、回り灯籠のような感じか。
私にはその時にならないとわからないので、主人公の生き方に賛同することも異を唱えることもできない。確かなのは上流階級であれ中産階級(もしくは労働者階級)であれ、誰の上にも時は過ぎてゆく。戦争によって社会が崩壊し、古い階級が新興階級へと変化してゆく。それは時代が変わるということだと思うが、そのとき、得るものもあるが、何かを失うということ。

主人公はアンヌ=マリとともに古い時代の人間であり、「時代の敗北者」だと思っている。しかしある意味では難を免れた、あるいは半ば免れたという気持ちを持っている。だが時代に取り残された感は否めないでいる。
「時代の敗北者」とみるか「難を免れた者」とみるかで、この作品の評価が大きく分かれるのではないだろうか。どちらにせよ、人生の苦みを描いた作品。(2001/5/13)

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