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継母礼讃/マリオ・バルガス=リョサ

継母礼讃
バルガス=リョサ(マリオ・バルガス=リョサ)

My評価★★★★

訳:西村英一郎
福武書店(1990年8月)[廃版]
ISBN4-8288-4007-9 【Amazon
原題:ELOGIO DE LA MADRASTRA(1988)


結婚して半年にならないルクレシアと、夫のリゴベルト。ルクレシアは40歳になったいまも美しさを保っており、自分が若く美しく幸せだと思っている。
夫リゴルトは、浴室で体を磨き上げることに執着している。それは彼にとって、自らを浄化するための儀式だった。リゴベルトには先妻の子、少年アルフォンシート(愛称フォンチート)がいた。
天使の顔を持つ少年フォンチートは、継母ルクレシアを慕っていた。しかし、その慕い方は度を越しており、継母の入浴姿を覗き見するようになり、ついには・・・。

こうした話の合間に、『水浴の後のディアナ』や『ビーナスとキューピッドと音楽』、フランシス・ベーコン『頭部I』などの絵画と、各絵から想像を得た寓話が挿入されている。これらの物語の行き着くところは?

********************

マリオ・バルガス=リョサ(1936年生まれ)、ペルーでリマに次ぐ第二の都市アレキーパ出身。
これは福武書店からモダン・ノヴェラと銘打たれて刊行された一冊。モダン・ノヴェラとは言い得て妙で、結末を知ると納得できる。
風変わりで刺激的で濃い中篇。三流作家が書けば好色なだけの物語になってしまうのだけれど、そこはさすがバルガス=リョサ。はじめは官能の物語かと思ったが、どうやらそうではないらしい。

挿入される物語は、ギリシヤ・ローマ風の寓話という感じがするが、次第にグロテスクに変貌してゆく。私には次第に狂気じみていくように感じられるのだけれど、一方でより純化されているというか、始原の状態になっていっているかのようにも思われる。
官能は人の判断を狂わし、行動に影響を及ぼす。だが人は官能に流され、都合のいい理由をつけて良しとしてしまう。
語られるエロスや官能は、たんに肉欲というのではなく、もっと原罪に近いもののように思われてならない。それは肉体を纏うものの限界であるかのよう。
物語の主役は少年フォンチート。彼は天使のような顔を持つ無垢な少年だが、周りからもそう評価されていることを充分に自覚している。その上で、彼には罪の意識がない。だからこそ無垢なように見えるのだろう。罪の意識のないところが恐ろしい。(2007/7/12)

追記:2012年10月、中公文庫にて復刊【Amazon】。

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