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ストーリー・ガール/モンゴメリ

ストーリー・ガール
モンゴメリ(L・M・モンゴメリ)

My評価★★★★

訳:木村由利子
角川文庫(2010年1月)
ISBN978-4-04-217911-5 【Amazon
原題:The Story Girl(1911)


ストーリー・ガール父親がリオ・デ・ジャネイロに転勤するため、13歳のベバリー(ベブ)は弟のフェリックスとプリンス・エドワード島にある、父の実家・キング農場に預けられることになった。
そこは父から聞かされていた、一族の歴史が息づいている土地。美しい果樹園があり、一族一人ひとりのリンゴの木が植えられている。

ベブとフェリックスは、キング農場の13歳ダンと12歳の美少女フェリシティー、11歳のセシリーの兄姉妹と、いとこで14歳のセーラ・スタンリー、雇われ人の少年ピーター、セシリーの親友セーラ・レイたちと過ごす。なかでもセーラ・スタンリーは「ストーリー・ガール」と呼ばれ、一目置かれていた。

ストーリー・ガールは一族の逸話やそのほかの物語をたくさん知っており、虹のような声の持ち主だった。その声で語られる言葉には生命が宿るかのよう。
プリンス・エドワード島で暮らす8人の子どもたちの、初夏から晩秋までの出来事と、その折々にストーリー・ガールが紡ぐ物語。

********************

読んだことはなくても、誰もがタイトルは知っているであろう名作『赤毛のアン』。その作者ルーシー・モード・モンゴメリ(1874-1942)は、カナダのプリンス・エドワード島生まれ。
訳者あとがきによると、この作品にはモンゴメリ家の逸話が散りばめられているのだそうです。また、独身時代最後の作品だとか。

美しいプリンス・エドワード島とそこに住む人々を背景に、8人の子どもたちの5月から11月までの出来事を綴った作品です。その折々にストーリー・ガールによる一族の物語などが語られるんです。
語り上手で不思議な魅力のあるストーリー・ガールはアンを彷彿させますが、アンほど独創的でもおしゃべりでもなく、常識的な範囲内だと言えます。それは、赤毛のアンが少女アンを中心とした物語なのに対して、本作は8人の子どもたちの物語だからだと思われます。また物語全体は、大人になったベブの回想録になっているんです。

百年前の作品なので、彼らの一族への帰属意識と宗教観は現代日本人にはなじみが薄いでしょうね(特に宗教観)。人々はとても素朴だと思います。現代人にはない素朴さではないでしょうか。
テレビなど娯楽のなかった時代、子どもたちは自分たちで遊びを考えます。でも、時にはその遊びがハプニングを引き起こしたりします。
子どもたちは本質的には仲がいいのですが、ときには嫉妬したり、いがみあったり、優越感を抱いたり。ストーリー・ガールも例外ではありません。ストーリー・ガールとフェリシティーはお互いに対抗意識があり、よく仲違いするんです。そんな子ども同士のライバル心が結構正直に書かれているな、と思いました。でも陰湿さはなく、健全なんですよ。
ストーリー・ガールと父親に対する大人の微妙な感情も書かれています。モンゴメリは自分の子ども時代を重ねているのかもしれませんが、決して理想化されただけの作品ではないんですよね。
『赤毛のアン』(村岡花子訳)にはなかったと思う、作者のシビアな一面を感じました。そのシビアな視線が物語の現実味を増し、アクセントにもなっていて、面白さになっているんです。

日常の出来事から起こる事件などを綴ったものなので、起伏のあるストーリーではないけれども、愛らしくて私は好きです、この作品。読んでいると幸福感を感じるんですよ。続編の『黄金の道』も文庫化してほしいです。(2010/5/19)

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