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ねじとねじ回し/ヴィトルト・リプチンスキ

ねじとねじ回し
ヴィトルト・リプチンスキ

My評価★★★★☆

訳:春日井晶子
早川書房(2003年7月)
ISBN4-15-208504-5 【Amazon
原題:ONE GOOD TURN(2000)


リプチンスキはポーランド系のイギリス人。カナダの大学で建築学を学び、ペンシルベニア大学で建築学を教えている教授なのだそうだ。
20世紀末、リプチンスキ教授が、ニューヨークタイムズ紙からショート・エッセイを依頼された。テーマはこの千年間で発明された最高の道具(工具)について。
教授はあれこれ考えた挙句、妻の助言を得て『ねじ回し』に注目した。ねじ回しの起源を遡るべくオックスフォード英語辞典を調べるが、説明が単純極まりない。そこでもっと詳しくて古い資料にあたる。
『ねじとねじ回し』はどのようにして発明されたのか?本書は、ねじとねじ回しの起源を歴史的に検証するノンフィクション。

ここで間違えてはいけないのは、当たり前のことだが「ねじ」と「釘」は別物だということ。
ねじは中世からあることが判明したが、それは職人が一個一個手作りしたもの。なのでそれぞれ微妙に形が異なってしまう。だが、近世になって精密なねじが大量生産できるようになったという。この精密なねじがなければ、大量の機械を組み立てることができない。しいては産業革命がずっと遅れたかもしれないのだ。
グーテンベルクの印刷機が何を転用したものなのか。実は意外なものを転用しており、図版を見比べると「なるほど」と感心せざるを得ない。さらにアルキメデスのギリシヤ時代まで遡るのだが、すでに当時、歯車を組み合わせた機械装置があったというから驚く。
ねじとねじ回しの起源を調べている最中、ボタンとボタン穴の起源にも触れている。私たちにとってはまったく意識することのないボタンとボタン穴だが、実は13世紀まではなかったのだそうだ。でも、ボタンはゲルマン民族移動の時代にあったともいわれているんだけどね。ただ、ボタン穴はなかったのかもしれない。

この本を読んでいちばん感心したのは、ねじとねじ回しだけで一冊の本が書けてしまうということ。どこまでねじの起源を遡ることができるのか興味を掻き立てられ、最後まで楽しく読めた。もっともギリシヤ時代については、尻すぼみの感がなきにしもあらず。
古代からクランクの原理は知られていても、それを指先で扱うことのできるものにした人や、グーテンベルクの印刷機のように発想の転換・応用を思いついた人はすごいなあと思う。

専門家にとっては掘り下げ方に物足りなさを感じるかもしれないが、私のような科学や機械に弱い素人には、読みやすくわかりやすいのでありがたい。
全体として、とても面白かったあ。この本のように、日常にある道具について一般の人でも理解できる本が、もっともっと書かれてもいいのではないだろうか。そして、そういう本を読むことで、身近なものを見直すキッカケになればいい。見直すことによって、新たな発想が生まれるのではないだろうか(とは言え、私にはムリだけど)。(2004/1/20)

追記:2010年5月、ハヤカワ文庫NF化【Amazon】(2010/5/24)

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