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タフの方舟 1禍つ星/ジョージ・R・R・マーティン

タフの方舟 1禍つ星
ジョージ・R・R・マーティン

My評価★★★★

訳:酒井昭伸
ハヤカワ文庫SF(2005/4/30)
ISBN4-15-011511-7 【Amazon
原題:TUF VOYAGING(1986)

目次:第1話 禍つ星/第2話 パンと魚/第3話 守護者


タフの方舟1ジョージ・R・R・マーティン(1948年生まれ)は、アメリカのSF、ファンタジー作家。
超巨大宇宙船「方舟(はこぶね)」号を操り、環境エンジニアを自称する元宇宙商人タフの活躍を描くSF連作短篇集。原書は1巻本だが、文庫では2分冊で刊行された。

方舟は千年も前に崩壊した地球連邦帝国の遺産で、環境エンジニアリング兵団(EEC)の生物戦争用胚種船。
この船は古代の恐竜から新種の細菌開発まで、あらゆる種を遺伝子操作でき、時間を歪曲(短縮)してクローニングできる。端的にいうと生物兵器を備えた宇宙戦艦で、これ一隻で惑星を壊滅させることができる。

方舟を武器として使うか、環境改善のために使うか。
タフは後者を選んだわけだが、そもそもこの人物がただ者じゃあない。非常にユニークな性格をしてい目が離せないんだな。慇懃無礼かと思えば謙虚、しかし謙虚かと思えばしたたかで、ともかく喰えない人物。
ともすれば嫌味な性格になりそうだけれども、きわどいバランスを保っている。愛猫によせるタフの愛情が人間味を感じさせるのかな。彼にとっては方舟より愛猫、危機の最中にあっても愛猫!それが憎めないんだなあ。

タフをはじめ、登場人物はクセのある者ばかり。アクの強いキャラたちの中にあって、タフは前に出ることはしないが、一歩も退かない。総じてキャラクターが実に面白かった。

『禍つ星(まがつぼし)』
胚種船で一攫千金と名声を得ようとする5人。彼らを運ぶために雇われた宇宙商人タフが、いかにして方舟を手に入れ、環境エンジニアになったのかという話。
訳者あとがきによれば、このシリーズは約十年にわたって発表され、発表順では『禍つ星』は4作目にあたるという。いわば全篇のプロローグ的な作品になっていると思う。
この短篇で、タフというキャラクターに魅せられたね。見た目も異能だけれど、なんといっても性格の異能さが際立っている。

『パンと魚』
方舟を得たタフは、船を修理するため惑星ス=ウスラムにやってきたことから、一大騒動が起こる。計り知れない能力をもつ方舟を前にして、本来は穏健な人々が、強攻な手段をとってまでも手に入れたいと願う。
崩壊寸前なまでの人口過剰に悩んでいる惑星政府は、方舟の性能に目をつけ、ス=ウスラムの宇宙港(ポート)マスター、トリー・ミューンに船を手に入れるよう命じる。
トリー・ミューンはタフと穏便に交渉しようとするが、政府は強攻策も辞さないでいた。彼女は惑星の将来のために、政府の有り様を憂う。

ここでの主役はトリーで、タフは脇役に回っている。このトリーも個性的で、やり手だが情もあり、かつパワフルな人物。トリーのいう政治の腐敗は、いやに現実的。まあ、実際そんなもんだろうなあ、なんて思ってしまう。

『守護者』
環境エンジニアとして苦難を救うべく、方舟で惑星ナモールにやってきたタフ。ナモールの人々は、海から現れる未知の生物に襲われ、壊滅的な危機に瀕していた。タフは調査と分析を始めるが、焦れたナモール側はタフに行動を強制する。タフの作戦は、いったんは成功したかと思えたが...。

要するに海から現れた怪物に襲われるという、昔々のスペクタクル映画のような事件。アクション・シーン満載なところが、この作者らしいような。しかし、それらの怪物はなぜ突然現れたのか?
タフの突き止めた解決策は意外なものだった。だが、それを目の前にした人々は信じることができない。そりゃそうだろう。「ハイ、これがそうです」と言われたって、信じなられないのが普通の反応だと思う。
この短篇はオチが秀逸で、ニヤリとさせられた。(2009/11/10)

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