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庭/ベッティナ・スティーテンクロン


絵:ベッティナ・スティーテンクロン

My評価★★★★★

セーラー出版(1995年6月)
ISBN4-88330-104-4 【Amazon:和書】【Amazon:原書
原題:EEN DAG IN THE TUIN(1992)


副題に『A Day in the Garden』とあり、庭のある家で暮らす家族や動物、通りがかりの人々など、ある一日出来事を描いています。文字はありませんが、絵にはストーリーがあるので、イラスト集ではなくやはり絵本です。

明け方の見返しから始まり、朝になって学校へ行く子どもを見送るお母さん、幼児の砂遊びを見守っておばあさん。梯子をかけてサクランボを採っているおじいさん。ウサギを抱いて庭を駈けずる女の子。みんなそれぞれ何かをしています。
おばあさんは温かな陽射しのなかで編物を始め、犬は木蔭で居眠り。突然、強い風が吹いて雨になりました。激しい雨です。でも午後のお茶の時間には晴れ、虹がでました。女の子はブランコを漕ぎ、雨に濡れた人形は服を脱がせて乾かしています。
お父さんは鍬で菜園を耕し、少年は木に登ってサクランボを摘む。やがて群青色の黄昏になり、犬も猫も夕食の時間。もう夕食を済ませたのでしょうか、おじいさんは屋外でパイプをふかしました。
やがて薄青紫色の闇の中、フクロウが飛かう夜がやってきました。それは一日の終わり。

********************

全ページ見開きになっていて、一日の人や動物たちによる出来事が進行します。外国の絵本ですが、ここに描かれる家族の生活は、日本人にも馴染み深いでしょう。庭ではおばあさんが編物をしていて、女の子はお花を摘んで、おじいさんは木の剪定などそれぞれです。
一瞬、どこに焦点を定めればいいのか迷いましたが、現実の生活では、家族とはいえ一日中一箇所に集まって同じことをしているのではなく、各人各用に過ごしているもの。そういった家族の生活そのものを、客観的に描いた絵本だと思います。ある一点に焦点を絞ることはできないので、隅から隅まで見て、何が起こっているのか探してみる楽しみがあります。
全てが画面にキッチリ収まっているので、庭のある家族の一日を、高座から第三者の視点で俯瞰もしくは見守っているような印象があります。また、動きはあるけれども音が感じられないので、色はあれども無声映画のスクリーンを観ているかのような感じがしました。

なんと言っても、パステルで描かれた色彩が幻想的で美しい!庭の絵というと普通は緑色を基調としますが、主にグレイプ(濃い青紫の葡萄色)やラピスラズリのような色を基調として、サンオレンジまたはサンライズ・イエロー、アブリコットなどで描かれているのです。つややかなチェリー・レッドが、アクセントに点々とちりばめられています。
パステルのタッチで強風や叩きつける雨が書き分けられ、木や建物の木蔭、仄かな明りに照り映える光線の具合も表現されています。イエロー系を中心とした陽だまりの庭も素敵ですが、特に群青色の影や宵闇が非常に美しい。印象派の絵画を想像してみてください。色彩的には印象派に近いだろうと思います。(2002/5/2)

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