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修道女フィデルマの洞察/ピーター・トレメイン

[修道女フィデルマ短編集]修道女フィデルマの洞察
ピーター・トレメイン

My評価★★★★

訳:甲斐萬里江,解説:川出正樹
創元推理文庫(2010年6月)
ISBN978-4-488-21814-0 【Amazon

収録作:毒殺への誘い/まどろみの中の殺人/名馬の死/奇蹟ゆえの死/晩祷の毒人参


修道女フィデルマの洞察7世紀アイルランドを舞台にしたミステリー。先王の王女で、法廷弁護士にして裁判官の資格を有する美貌の修道女フィデルマが、難事件に挑むシリーズの短編集第2弾。日本オリジナル短編集。
シリーズを読みたいけれど長編なので迷っている人は、短編集から入るといいかも。短編集には本書と、既刊『修道女フィデルマの叡智』があるけれども、どちらからでもいいと思う。

長編は7世紀アイルランドの世界と複雑な人間関係にどっぷり漬かれるけれど、短編にも人間関係の複雑さが出ている。人間関係というよりも、人の内面の複雑さというべきか。
その上で、短編はどれも鮮やかなキレ味。ラストの捻りやオチが効いており、ときには余韻があったり。私は特にラストが上手いなあと思う。

「まどろみの中の殺人」は1993年に書かれ、フィデルマの誕生作なのだそうだ。フィデルマが取り扱った事件のうち、いまのところ一番初めの事件だという。設定に関しては後の作品と異なる箇所があり、まだフィデルマの背景が練られていないことがわかる。

本書で一番印象に残るのは「名馬の死」で、フィデルマは巧妙に仕組まれたトリックを暴く。二重殺害といった事件そのものも読ませてくれるのだが、この短編をより印象付けているのは、ラズローン修道院長の存在だろう。
彼は、フィデルマに大王都タラのモラン師の元で学ぶように勧めた人物だという。彼によって珍しくユーモラスな一編になっている。このシリーズではいままでユーモラスを感じることはなかったので、ちょっと珍しい一編だと思う。

「晩祷の毒人参(ヘムロック)」でフィデルマは、事件を解明してゆくなか「法律に仕える者として、法律の目指す正義」と「人間としての倫理的な正義」の間で悩む。法の人という印象の強いフィデルマが選んだ決断は・・・。それはシリーズのというよりも、作者自身の通低にあるだろう。

解説によれば、現在シリーズの第1作目を翻訳中で、次回には刊行されるとのこと。長編はこれまでに第3~5作目が翻訳刊行されたが、これでやっと第1作目を読むことができる!どんな内容なんだろう?いまから楽しみです。(2010/6/28)

蜘蛛の巣
幼き子らよ、我がもとへ
修道女フィデルマの叡智
蛇、もっとも禍し
+修道女フィデルマの洞察
死をもちて赦されん

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