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夢見つつ深く植えよ/メイ・サートン

夢見つつ深く植えよ
メイ・サートン

My評価★★★★★

訳:武田尚子
みすず書房(1996年2月)
ISBN4-622-04597-4 【Amazon
原題:Plant Dreaming Deep(1968)


アメリカの詩人・小説家メイ・サートン(1912-1995)が、1958年にボストンからニューハンプシャーのネルソンという田舎にある老家屋と納屋、広大な敷地を購入し転居。本書は、ニューイングランドでの10年ほどの生活を綴った回想録。

サートンはベルギーに生まれ、4歳時に両親と共にアメリカに亡命。両親が亡くなり、古いフランドルの家具が彼女に遺された。家具に居場所を与えて再生させ、また自らの内面を深めるため、静寂な環境を求めて築百年の荒屋となっていたネルソンの家に引っ越す。houseではなhomeを求めて。

都市生活者だった著者が、厳しいニューイングランドの自然に晒される。しかも、たった一人きりの生活。それは孤独との対峙。孤独と向き合うことによって、自身の内面を深めていく。
孤独それ自体は、聞きとれぬもの、目に見えぬものが感じられるようになるのを待つひとつの方法だといえる。
そしてそれゆえにこそ、孤独はけっして静止してもいなければ、絶望的でもない。
それどころか、訪れる友人の一人一人が、孤独をかぎりなく豊かなものにしてくれる。もしも彼らの存在がリアルに感じられたとしたら、その存在感はけっしてここを離れることはない。(p82~83)


孤独から逃れたいと思うのが普通ではないだろうか。一般論として、人は孤独から目を逸らそうとして、何らかの代替行為に走ると思う。でもそれは所詮代替行為でしかないため、決して満たされることはない。だが、そのことを認めると孤独に向き合うことになるので認めたがらない。
しかしサートンは違う。孤独である自分自身から目を逸らさないのだ。とても強い人だ。ただし隠者ようでも求道者のような生活でもなく、クイッグことアルバート・クイグリーやパーリー・コールなど、魅力的な地元ニューイングランド人との触れ合いも愉しんでいる。
家屋の改修や、庭仕事の愉しみなどについても書かれている。そのような日常の出来事などを含め、何事も物事の根源を突き止めようとする。そうやって彼女は自己の哲学を築き上げてゆく。

サートンの生活は、エミリー・ディキンソン(1830-1886,アメリカの詩人)を思わせる。エミリーの孤独への向き合い方も、こんなふうだったのではないだろうか。
うーん、この本を読んで感じたことを、どう表現すればいいだろう。孤独と対峙することによって、サートンの人生はより豊かになっただろう。物事と真摯に向き合うことでしか得られない豊かさというものがあると思うのだ。
そのような作品に触れることによって、読み手は自分の可能性を信じられるようになる強さのキッカケを得ることができるのではないかと思う。とりあえず現時点の自分が言葉にできるのはこのぐらいか。
今後、当時のサートンの年齢に達したら、また異なる感想をもつかもしれない。そのときはちゃんと理解できるかもしれない。ともあれ何度も読み返したい一冊となった。(2007/12/20)

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