スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

おじいさんの小さな庭/バーナデット・ワッツ

おじいさんの小さな庭
文:ゲルダ・マリー・シャイドル
絵:バーナデット・ワッツ

My評価★★★★★

訳:佐々木田鶴子
西村書店(1987年1月)
ISBN4-89013-082-9 【Amazon
原題:DER KLEINE GÄRTNER(1985)


おじいさんの庭は小さいけれど、ノバラやマーガレット、ツリガネソウなどが咲いていて、草の間にはタンポポやヒナギクも咲いています。ライラックの下にはベンチもあります。そんな庭で、花々や小鳥たちは仲良く楽しげに過ごすのです。おじいさんはは花や小鳥が大好きで、花や小鳥たちもおじいさんが大好き。実は、おじいさんは花や小鳥の言葉がわかるんです。

おじいさんの庭の塀の向こうには、お金持ちの広い庭がありました。その庭には芝生が敷かれ、パラやユリやカーネーションが整然と咲いています。その話を聞いた小さなヒナギクは、隣りの庭のバラやユリの間で咲きたいと言い出したのです。
おじいさんは悲しい気持ちになりながらも、暗くなってからこっそりと塀を乗り越え、ヒナギクを隣りの庭の芝生に植えてあげました。そこでなら周りの花がよく見えるからです。
翌朝、ヒナギクに気づいたお金持ちは!?

********************

優しく温かな気持ちにさせてくれる絵本。ヒナギクを巡って、心根の豊かさとは何かが語られています。しかし、説教くささはまったくないんです。
おじいさんの小さなワイルドフラワー・カーデン。ここではヒナギクやタンポポといった野生の花々にも場所が与えられているのです。高価な花はないのでしょうが、魅力溢れる庭です。この庭で小鳥たちは楽しげに遊んでいます。ハリネズミまでも。
一方、隣りのお金持ちの庭は、真っ白いガーデニングチェア、テーブルにはパラソル。刈り込まれ手入れの行き届いた芝生には、チューリップやバラなどが整然と植えられています。野草が生える余地はまったくありません。

対照的な二つの庭。庭だけを眺めれば、どちらも素敵です。けれどもお金持ちの庭には、たぶん野鳥たちは近寄らないでしょうし、お金持ちも野鳥たちを歓迎するとは思えません。
問題は庭の見た目ではなく、どちらの庭が心地よいかでしょう。それは庭主の心持ちによります。

どちらの庭が素晴らしいのか、どちらの生き方が豊かなのか。それは一目瞭然ですが、しかし、果たして私たちは、お金持ちのヒナギクへの態度を非難できるのでしょうか?
自分好みの庭にするため、自身が計画して丹念に整備したです。そこに計画にない余分なものがあったら、取り除こうとするのが一般的な態度ではないでしょうか?
ヒナギクの立場になってみれば、お金持ちのしたことは狭心としか思えません。けれども、同じことをするかもしれないという気持ちが、私にはあるんですよねぇ。そんな自分の狭量さに気づかせられました。

バーナデット・ワッツ(1942年生まれ,イギリス)は美術大学で絵を学んだ後、絵本作家のブライアン・ワイルドスミスに師事。ワイルドスミスの絵はデザイン性が高く、色彩感覚は華やか。ワッツも色彩感覚に優れているのですが、ワイルドスミスとは異なります。
陽だまりの光に満ちた日中の庭。そして夜気の清澄な空気に満ち、星々のきらめく庭。そのどちらの様子も眺めているとほっとし、温かなものが伝わってくるんです。
絵がいいんですよ。温もりがあり幸せな気持ちにさせてくれるんです。ワッツの絵には幸福感があると思うんですよ。
また、色遣いがファンタスティックで素晴らしい。陰影の色遣いが気に入ってます。特にブルー系とパープル系を遣った影の表現がいいですね。陰影の表現が巧みだからこそ、光の表現も際立ってくるのでしょうね。(2007/10/20)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。