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夜の国/ローレン・アイズリー

夜の国
ローレン・アイズリー

My評価★★★★★

訳:千葉茂樹・上田理子,解題:ロビン・ギル
工作舎(1994年6月)
ISBN4-87502-235-2 【Amazon
原題:THE NIGHT COUNTRY(1971)


孤独な魂が、夜あるいは闇の静寂から、あるいは星々の瞬く刹那に、時空を越えて世界の淵を窺い見るかのような、スピリチュアルなネイチャー・エッセイの至宝。
著者紹介によると、ローレン・アイズリー(1907-1977,アメリカ)は人類学者、科学史家、詩人、エッセイスト。ソローやエマソンの系譜を継ぐ、20世紀アメリカを代表するナチュラリスト。
30歳のときに人類学で博士号を得、後にペンシルヴァニア大学の教授、学部長、全人類学会の次長などを務めた。理系・文系を問わず多くの賞や名誉学位を受けているという。解説によればアイズリー博士の専門は、考古学・進化人類学なのだそうだ。ロビン・ギルはアイズリー博士を、深層=精神的=生態学(ディープ・エコロジー)の先駆者とみなしている。

正直なところ、本書を人に薦めたいという気持ちと、誰にも教えず一人でひっそり読みたい、という気持ちが相反している。ただし、きちんと理解できているわけではないのだが。白状すると本書についてあまり書きたくない、と言うより書けない。私の手に余り、その上で語ろうとすれば誤解を生じさせ兼ねない。
しかしこれで終わっては、何のためにこのコンテンツがあるのか。奮起して印象を書き記す。あくまでも印象なのでそのつもりで。

著者は町を彷徨い、あるいは地中の深淵へと潜み、太古無数劫の霊妙なる囁きに耳を澄ます。数尋の世界はガイアの胎道へと潜り、無比の世界を経巡る。それは孤独な少年のひとり遊び。彷徨いつく先は涅槃寂静か。まさに宇宙的感覚(コズミック・センス)。基本的にはキリスト教だが、世界を窺う思惟は仏教観に満ちている。

何かの本にあったが、大意は「およそもの書きの中で、詩人の魂だけが時を越えることができる」という。ただし、すべての詩人というわけではない。小説家は小説という形式がそれを許さず、学者は現実の地平線に立たざるを得ない。優れた詩人だけが、言葉をして時を越えることができる。それがローレン・アイズリーだ。
アイズリー博士は詩人の感受性と魂と、学者としての眼と見識を併せ持つ。幻視者でありながら、同時に学者でもある稀有な存在。しかし内裡は、闇と不安に慄き孤独を抱える少年である。孤独な少年は、生命の螺旋<ミッシングリンク>に魅かれている。
「あらゆるものは生命の連続のなかに生きる」と言ったのは白川静だが、アイズリー博士の視る諸相もそれである。
また、あらゆるものは有限であるが、存在の欠片に喪われた生命の徴と記憶を刻んでいる。だが普通の人は専門知識の有無よりも、その有限性ゆえに徴に眼を止め耳を澄ますことは困難だ。それを著者は、地球というアルバムから徴を見つけだそうと旅する。その姿は求道僧のよう。闇と不安におののきながらも眼を凝らしつつ    

もしもあなたが孤独と不安を抱えているならば、著者の言葉は夜露の如き潤いをもたらすだろう。露で瞼を濡らすと視えてくるだろう、闇も生命を育むということを。そして知るだろう、あなたも私も<ミッシングリンク>な存在だということを。(2007/9/20)

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