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サリーのこけももつみ/ロバート・マックロスキー

サリーのこけももつみ
文・絵:ロバート・マックロスキー

My評価★★★★★

訳:石井桃子
岩波書店(1996年5月)
ISBN4-00-110590-X 【Amazon
原題:BLUEBERRIES FOR SAL(1948)


サリーとおかあさんはそれぞれブリキのバケツを持って、コケモモ山へコケモモ摘みに出かけました。たくさん摘んで、冬に食べるジャムを作るためです。
丘陵には一面にコケモモが自生しています。サリーが摘んだ3粒のコケモモをブリキのバケツに入れると<ポリン・ポロン・ポルン!コケモモの弾む音がします。でも次の3粒は自分の口へ。
おかあさんは一生懸命コケモモを摘んでいますが、サリーは摘んでは食べ摘んでは食べてしまいます。だからサリーのバケツはいつまでも空っぽのまま。

おかあさん熊と仔熊の親子が、冬眠の前におなかをいっぱいにするために、コケモモを食べにやって来ました。おかあさん熊はコケモモを食べながら歩いて行くのですが、疲れた仔熊は座り込んで、口の届く限り食べ始めました。
コケモモを食べたサリーは、おかあさんを探しに出かけました。サリーは音のするほうにおかあさんがいると思って歩いて行くんです。
一方、仔熊もおかあさん熊を探しに出かけました。仔熊は切り株の向こうの音を聞きつけて、おかあさん熊がいるのだと思って歩いて行きました・・・。

********************

ポリン・ポロン・ポルン!ブリキのバケツで弾む音がリズミカルで楽しくて心地良く、コケモモのコロコロとした丸さと質量を感じさせてくれます。ポリン!
サリーがバケツと口に手を突っ込んで食べるとき、仔熊が口いっぱいにコケモモを頬張るとき、むしゃむしゃ食べる音が聴こえそう。コケモモの繁みをガサゴソと動き回る音、カラスの鳴き声など、この絵本からは音が感じられるんです。
また、白地に濃紺一色で描かれ、余白が大きくとられている絵は、広々と視界の開けた山の様子や、キリリと澄んだ空気と静けさを伝えてくれます。そんな絵だからこそ、音が聴こえてくるのかな。
日本版では文字色が茶色なのですが、原書では文字も濃紺色でとてもスッキリしています。文字も濃紺色のほうが、山の引き締まった空気や音がより伝わると思うのだけど。

見返しでは、キッチンでおかあさんが手鍋からコケモモを瓶に移していて、サリーが椅子の上に乗って、瓶の口を閉めるゴムを手にしている様子。
開けっ放しの引出しや戸棚、使っている最中のシュガーの袋。ストーブのような煙突の突き出た旧式のオーブンがあり、オーブンの上にかけられた鍋から上るほのかな湯気。窓辺ではカーテンが風にふわりと揺れています。
キッチンの様子、湯気とカーテンの揺れから、人がいま使っている最中の気配、部屋にこもったほのかな熱気や親密さが感じられるんですよね。
キッチンの室温、コケモモを食べる姿や音など、私たちが普段日常生活で動作をしているときの体で感じる感覚、体が覚えている記憶を揺さぶる絵本ではないでしょうか。(2002/3/27)

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