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すばらしいとき/ロバート・マックロスキー

すばらしいとき
文・絵:ロバート・マックロスキー

My評価★★★★☆

訳:渡辺茂男
福音館書店(1978年7月)
ISBN4-8340-0720-0 【Amazon
原題:TIME OF WONDER(1957)


小島の連なったペノブスコット湾。湾には幾艘もの白い帆のヨットが浮かび、空にはもくもくと白い入道雲。島に影を落とした雲は灰色となり、サァァァと通り雨。岸辺にいた姉妹たちの上にも雨が降る。
白い靄がたなびく早朝の渚、しんとした林。倒れた木の中の虫の音。真夏の海をはしるヨット、海岸で遊ぶ子どもたち・・・。
夜に岬の周りをボートでこぐ姉妹が見上げると、空に星、海面にも星が映っている。やがて嵐がやってくる。船はシッカリと岸に繋げられる。外は暴風雨。家の中では母さんが姉妹にお話を読んであげたり、みんなであらん限りの声を歌をうたう。

次の朝、あちこちに木々が倒れているのをみつける。この機会に子どもたちは、普段は歩くことのできない幹や枝の上を歩いてみる。
姉妹は倒木の下からインデアンの貝塚を見つける。そうして夏の終りが近づき、家族は荷物を積んで島から去ってゆく。様々な夏の思い出とともに。

********************

湾の島々、海と空、嵐、島で夏を過ごす子どもたちを、水彩で描いた絵本です。ページごとに海の青と空の色が変わり、自然の美しさが伝わってきます。
シッカリとした観察眼で、刻々と色を変えていく自然が写しだされているのです。静謐で透明感のある、海と空の色の変化が穏やかで美しい。最初と最後のページには、海と島々と空が見開きで描かれていて、どこまでも海と空が続くよう。
文章は、ひと夏を島で過ごす姉妹に対して、父さんが語りかけています。穏やかな語りは、直接会話を交わすのではなく、父さんが姉妹を見守りつつ、心の中で語りかけているからではないでしょうか。
最後の文(P60)が特にいいので、一部引用します。

波と空を
ようく   みておくんだよ。
海の潮の香りを
ようく   かいでおくんだよ。
去っていく場所のことを   かんがえると、
すこし   さみしいね。
でも   これからいく場所のことを
かんがえると、すこし   うれしいだろ。
しずかに
思いめぐらすときだ     


夏を楽しく過ごしても、夏の終りになるとなぜかさみしく感じませんか?そういった楽しかった夏の思い出と、自分たちが島を去ることと季節が過ぎ去っていくことの、一抹のさみしさがよく表れた文章だと思うのです。こういった作者の考え方が、この絵本をゆったりと感じさせるのではないでしょうか。

現実には、夏のバカンスを過ごそうとすると移動が大変ですよねえ。どこへ行っても人混みで、休養のつもりが疲れて帰ってくることも少なくありません。この絵本のように、静かにゆったりと過ごすのは、なかなか難しい。
でも、ちょっとページを開くだけで海と島の夏を体感できるのです。そして、あくせくとした気分のとき、時間に追われているように感じるとき、この絵本に描かれた自然の時間の流れに身を任せてみてください。きっと、穏やかな気分になれるはず。それが絵の持つ力なのだと思います。(2002/8/7)

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