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オドの魔法学校/パトリシア・A・マキリップ

オドの魔法学校
パトリシア・A・マキリップ

My評価★★★★

訳:原島文世
創元推理文庫(2008年2月)
ISBN978-4-488-52007-6 【Amazon
原題:OD MAGIC(2005)


ヌミス王国の北方で暮らす孤独な青年ブレンダンは、植物や大地などの自然界に対する不思議な力を持っている。彼は、女巨人のオドから、魔法学校の庭師になってほしいと頼まれた。
400年前に学校を作るため、戦火にあった王都ケリオールを救ったのがオドだった。その後、魔法学校は王城に組み込まれ、魔法と魔法使いは王の管理下に置かれ、認可されていない魔法を学ぶことは禁止され、もぐりの魔法と魔法使いは王国の体制を揺るがす危険分子とみなされるようになった。魔法学校の教師ヤールは、狭量な体制と魔法のあり方に疑念を抱く。

ブレンダンが庭師として働き始めたころ、歓楽街の黄昏区でティラミンの一座が興行を始めた。
ティラミンの技はただの手品なのか、それとも本物の魔法なのか?本物であるならば、それは管理されていない危険な魔法であり、王に対する反逆である。
王の顧問官の魔法使いヴァローレンは、地区警吏監アーネスにティラミンを取り調べさせ、場合によっては拘束するよう命令を下す。
またヴァローレンは、ブレンダンの力が認可されていない魔法だと気づき、彼を拘束しようとする。だが、ブレンダンは黄昏区に行っていた。

王の娘スーリズはティラミンに会いたがる。ティラミンならば彼女の悩み事を理解してくれると思ったからだ。
スーリズは結婚相手となったヴァローレンに悩みを打ち明けようとするが、ヴァローレンは彼女の存在を意に介さない。そんな折、黄昏区で事件が起こった。

********************

謎と魔法と幻想に満ちた絢爛たるファンタジー。
この本を目にしたとき、「魔法学校」というタイトルから一瞬ハリー・ポッターを思い浮かべたが、それは私だけではないだろう。でも、マキリップがハリー・ポッターのような学園ものを書くわけがない、と思い直した。
実際に学園ものではなかった。とても幻想的。やっぱり、マキリップは好きだな。

マキリップの描く世界は謎に満ちている。これまでに読んだことのある彼女の作品の傾向は、世界の謎あるいは秘密を理解することかなあ。
その作品世界の大気には、魔法が満ちているように感じる。魔法はたんなるアイテムではなく、人が気づかないだけで元々そこ(自然界)にあり、人と自然界とのハーモニーによって生じるのではないかと思う。
そのため数値化することができない。人は数値化できない未知のものに対して理解することが難しく、ときには王やヴァローレンのように恐れから排除しようとする。
恐れは人を盲目にし、たとえ真実が目の前にあっても気づかなくさせる。厄介なことに恐怖はさらなる恐怖を呼び込むため、ますます収拾が困難になる。

庭師ブレンダン、謎に包まれた興行師ティラミン、姫君スーリズは三者三様に悩み事がある。この三人が時同じくして姿を消したことから、王と顧問官のヴァローレンは疑心暗鬼に駆られる。
しかし、王と顧問官は悪者ではない。この物語に悪者はいない。問題は無理解にあり、悪意ではないのだ。

一見関係性のない三人の物語が、どう交差し収拾するのかまったく見当がつかなかった。一つの出来事が次の出来事を招き込み、物語はどんどん展開してゆく。
行き着く先に何が待っているのか?作者はどこへ導こうとしているのか?結末を予測できないままラストに辿り着いたが、とても納得できるラストだった。『影のオンブリア』(ハヤカワFT文庫)のように複雑ではなく、読みやすく理解しやすかった。
訳者あとがきにあるように、キャラが立ってるのも読みやすさと理解しやすさの一因になっている。しかし、どこがどうなっていて、マキリップの作品はこんなに幻想的なんだろう。行間から幻想が立ち昇ってくるかのようで、澄んだ大気は魔力に満ちているかのよう。マキリップのそういうところが好きだ。(2008/2/12)

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