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チェンジリング・シー/パトリシア・A・マキリップ

チェンジリング・シー
パトリシア・A・マキリップ

My評価★★★

訳:柘植めぐみ,解説:安田均
小学館ルルル文庫(2008年9月)
ISBN978-4-09-452082-8 【Amazon
原題:THE CHANGELING SEA(1988)


宿屋で働いている15歳の少女ペリウィンクル、通称ペリ。ペリは猟師だった父親を海で亡くし、自分の殻に閉じこもってしまった母親と離れ、幼いときに呪いを教えてくれた老婆の家で一人暮らしをしている。
ある日ペリは、とうにいない老婆を訪ねてきたキール王子と出会う。ペリはキール王子に頼まれ、海に呪いを流す。すると海の底から、首を黄金の鎖で繋がれた竜が現れた!?

首輪の黄金に目がくらんだ村人たちは、鎖を手に入れるために魔法使いを雇おうとする。そこへ魔法使いリョウが現れる。
海から現れた竜は、誰の手によって、なぜ鎖で海の底に繋がれていたのだろう?一方、キール王子は、海の底の国へ行く方法を探す。キール王子と竜には、いわく因縁があった。

********************

ルルル文庫はいわゆるライト・ノベルのレーベルだけれど、タニス・リーやシャロン・シンなど、本格派ファンタジィを邦訳してくれるので侮れない。
ただイラストがねえ。私などにはこうしたカバーイラストは、かなり手に取りにくい。また、訳がねえ。レーベルの性質上、使用する語彙に制限があるのだろうけれども、この訳では幻想性は薄れてしまったろうと思われる。

タイトルから察しがつくように、取り替えっ子の話。ハッピーエンドのロマンティックなマリン・ファンタジー。
翻訳によるのかもしれないけれど、軽めの作品。でもマキリップらしさが端的に現れているんじゃないかな。そう言うほどマキリップに詳しくはないのだけれど。

マキリップの本を読んで感じるのは、この作者にとっての魔法の源は、「人の心」じゃないのかな。マキリップの描く魔法は数値化できないのだけれど、それは魔法が人の心から紡ぎだされるからだと思うのだ。魔法が曖昧模糊として感じられるのは、人の心がそうだからなんじゃないかな。

ペリと村人は同じ竜を見ているのだが、そこには大きな違いがある。それはある種、世界を視る目の違いではないかと思う。
村人たちは黄金に目がくらんでいるため、黄金の鎖こそがすべてであり、その奥にある意味「なぜ鎖に繋がれた竜が存在するのか」ということは関係ない。そちらへと意識が向かないのだ。そのため、魔法は目の前にあるけれど存在しないと言えよう。
ちょっとだけ意識をめぐらして、竜を海の底に繋ぎとめることができるのは誰なのか、と考えてみる。すると、そこに魔法としか呼べないものがあることを知るのだろう。

ペリもそうだがマキリップの作品の主人公は、事件前と事件後では世界を視る目が変わってしまうように思われる。それは成長と言うより、「開眼」といった感じがする。
世界と人間との関係性を、アメリカの思想家エマソン(ナチュラリストの始祖といわれる)の思想などで読み解くと面白いんじゃないかなあ、という印象を受けた。(2009/6/11)

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