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エッフェル塔の潜水夫/ピエール・カミ

エッフェル塔の潜水夫
ピエール・カミ

My評価★★★

訳:吉村正一郎,解説:赤川次郎
ちくま文庫(1990年8月)[絶版]
ISBN4-480-02459-X 【Amazon
原題:Le scaphandrier de la Tour Eiffel(1929)


時は1920年代、場所は花の都パリ。潜水夫ヴァランタン・ムーフラールは、セーヌ川に身投げした男の溺死体を引き揚げた。男の手には、「飛び行くオランダ人」号の船長ペテル・マウスから船員になるようにという召喚状が握られていた。
観衆が見守り騒ぐなか、忽然と男の溺死体が消えた!再びムーフラールがセーヌ川に潜ると、男の遺体は化けものじみた潜水夫たちに引きづられて行った。潜水夫たちは「飛び行くオランダ人」号の船員で、いま世間を騒がしている神出鬼没の幽霊船だった!?

エッフェル塔の人たちに拾われて育った少年たち、「塔の子供(ランファン・ド・ラ・トウール。通称ファンファン)」と、親友の「古胡桃(ヴイエイユ・ノワ)」は、好奇心いっぱいでムーフラールの話を聞く。
そのムーフラールの遺体がエッフェル塔で発見され、またもや「飛び行くオランダ人」号への召喚状が!しかもムーフラールの遺体が忽然と消え失せた・・・。

ファンファンとヴイエイユ・ノワは、アメリカで億万長者となった英国人の鉄道王ジェレミー・スコットと、彼の姪エディス、エディスと相思相愛の青年紳士フィリップ・ダンブランと知り合う。
エディスはフィリップに、叔父の鉄道王が交霊術に凝っているが霊媒師サムュエル・ヴァンにだまされているので、ヴァンの証拠を掴んで目を醒まさせてやってほしいと言う。
鉄道王はなぜかエッフェル塔の怪事件に興味をもち、霊媒師を連れて塔で一夜を過ごす。そして「飛び行くオランダ人」号とコンタクトをとるべく、自家用船でニューファウンドランド沖へと出航する。
クルーはファンファン、ヴイエイユ・ノワ、二人の知り合いのモンパパ、洗濯船の親方マチュラン、鸚鵡のキャプテン・ジャックらだ。時同じくして、コンコルド広場が大パニックに!?

********************

コント作家としてデビューし社会風刺的な小説も書いた、フランス生れのピエール・カミ(1884-1958)による、謎また謎の奇想天外な大衆娯楽小説。
たたみ掛けるように怪事件が続出し、怪人物が横行する。これほどの大風呂敷を広げて収束させることができるのか疑問だったが、最後には相当無茶であれ多くの謎に一応説明をつけたので、荒唐無稽の一歩手前という感じはするが奇想天外と言うに留める。推理小説ではないので、細かいことを気にしてはいけないのだ!

訳者があとがきで言っているように、良くも悪くもあとくされがなく、最後まで飽きさせずに読む者を惹きつける。解説によるとこの作品が書かれた時代は、映画がサイレントからトーキーへ移行しようとしていた頃だそうで、コミカルなサイレント映画に見られる、ブツブツ切れての唐突な場面転換やドタバタさがある。

登場人物が多く、誰が主人公なのか作者自身判然としなくなっているようだが、まあ気にしない。どの人物も類型的で安直ではあるが、ほどほどに個性的ではある。
私はやせたい一心でエッフェル塔の階段を上ることを日課とし、日課が終わったら疲れたので腹ごしらえするモンパパが贔屓。モンパパは船のコックになったが、お菓子以外の料理を作れるのかな?
人種蔑視的な部分はあるが、書かれた時代を考えると仕方のないことで、当時の風俗や時代性がわかる。私には洗濯船なんて想像外のものだった。
訳は言い回しや古かったり、いまでは使われておらず意味がよくわからない言葉も数箇所あるが、訳者の年齢からすると仕方ないだろう。訳の古さは無視しても何ら問題なかった。(2002/7/10)

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