スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

薔薇のいれずみ/テネシー・ウィリアムズ

薔薇のいれずみ
テネシー・ウィリアムズ

My評価★★★

訳・解説:田島博
新潮文庫(1973年3月)[絶版]
0197-210905-3162 【Amazon】
原題:The Rose Tattoo


1951年にニューヨーク初演の戯曲。1955年、映画化(米)。
場所はニューオーリアンズ近くのとある村。セラフィーナ・デルレ・ローゼは仕立物をしていて、亭主はバナナを運搬するトラック運転手。だが亭主の家系には男爵(バローネ)がいて、セラフィーナはそれを自慢にしていた。夫婦はシシリー島からの移住者で、二人の間にはハイスクール卒業間近のローザという娘がいる。

突然亭主を亡くしたセラフィーナは悲嘆のあまり、それまで服装に気を遣い宝石で飾り立てていたのを、薄汚れたスリップ一枚で家に閉じこもるようになった。
しばらくしてセラフィーナはローザの卒業式に行こうとするが、仕立物を取りに来た女たちから、亭主が生前に浮気していたことを知らさせる。しかも浮気相手は亭主と同じように、胸に「薔薇のいれずみ」をしていると言うのだ。
怒り狂ったセラフィーナは女たちを叩き出す。そして、愛する亭主の浮気に怒り絶望する・・・。

卒業式から帰った来たローザは、セラフィーナに恋人のジャックを紹介する。セラフィーナはジャックに、聖母にかけてローザの純潔を尊重することを誓わせた上で、二人の交際を認める。
二人が出かけたあと、セラフィーナは亭主とよく似た体つきの男アルヴェーロと出会う。次にアルヴェーロに会ったとき、彼の胸にある「薔薇のいれずみ」に気づく。亡くなった亭主と同じ体と同じいれずみに、貞節なセラフィーナは動揺する。

********************

巻頭にはウィリアムズ(1911-1983)本人による『時間のない世界     劇』という序文があり、この戯曲における自身の意図を述べ、劇評対する批評家への不満を露わにしている。
愛も怒りも悲しみもひたむきで激しいセラフィーナが、愛する人を失いまた愛することをはじめる。セラフィーナのひたむきで激しい感情と、素朴で確信に満ちた信仰は、圧倒されるほどの生命力に溢れている。
だが感情の振幅の激しさとめまぐるしさは、ウィリアムズが目指した悲劇ではなく、悲喜劇もしくは喜劇にさえ思える。これに対する反論がウィリアムズの序文である。

解説によるとセラフィーナ像は、文明社会の虚飾につつまれて衰弱しきった人間性の外被をはぎとり、生命力をよみがえらせて原型にもどした姿だという。
セラフィーナが飾り気のない感情のままの言動は、現代人にとっては洗練されておらず抑制に欠けるため、奇妙で滑稽に思われるのではないだうか。だが、開放的で羨ましくさえある。筋立てにはこれといって際立つところはないが、セラフィーナの強烈な生命力に魅了される。(2001/4/26)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。