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新・御宿かわせみ/平岩弓枝

新・御宿かわせみ
平岩弓枝

My評価★★★☆

文春文庫(2010年8月)
ISBN978-4-16-771015-6 【Amazon

目次:築地居留地の事件/蝶丸屋おりん/桜十字の紋章/花世の縁談/江利香という女/天が泣く


新・御宿かわせみかわせみ第二世代を中心に、時代を江戸から明治に移して新スタートした人気長寿シリーズの文庫化。

冒頭、イギリス留学から5年半ぶりに帰国した麻太郎の登場から始まる。
彼が留学している間に、咸臨丸他の艦隊に乗船した東吾は、台風に遭い行方不明になっていた・・・。このシリーズとしてはなんとも悲しい幕開けだが、実はもっと怒涛の出来事が!

そもそも麻太郎が留学することになったのは、麻生小太郎の代わりだった。なんと維新のドサクサ時に、麻生家は宗太郎と花世以外、皆惨殺されたからだった。
帰国した麻太郎は、源太郎から麻生家の事件を探索していた父・源三郎が凶弾に斃れたことを知らされる。源太郎は父の仇を討つべく、市井にくだり探偵業を営んでいた。

通之進と香苗は狸穴へ転居。松浦方斎亡き後の方月館は通之進に遺されたが、通之進は宗太郎に委ね、宗太郎と実弟・宗三郎によって診療所となっていた。しかし花世はかわせみに下宿して、勉学に励んでいた。
麻太郎は居留地のバーンズ医師邸に下宿して医学を学ぶ。
そんな3人が事件に関わり解決していき、やがて麻生家と源さん殺害犯に辿り着く。

********************

第一世代のその後には、そこまでしなくてもいいのでは、と思った。江戸情緒と人情というぬくもり感が売りだったから、このシリーズとしてはあまりの悲惨な展開に戸惑った。その一方、嘉助とお吉、長助に仙五郎が健在だったのにはホッとした。
江戸から明治へ。直接戦いに加わらなくても、誰もが(と言っても武士だけだろうが)無疵ではいられない。人々は各々痛みを抱えて乗り切らねばならない。安易ではあれど、そうした痛みは激動の時代を表していると思われる。しかも治安の悪化や台湾出兵と、世情は非常に不安定なのだから。

かなり戸惑ったけれども、考えてみればこのぐらい大胆な仕切りなおしは必要だったろうとも思う。このシリーズを20数年読み続けているが、マンネリ化を感じていたからだ。
長年の人気や愛読者に阿ることは容易だろう。だが、そうしていれば果てしなく読者に阿り、マンネリ化から脱却できず、作家は惰性で書き続けることになるだろう。
長く読者を続けていると、それまでとは異質な新展開に、「これまでのイメージ(これまで自分自身が作品に抱いていたイメージ)と違う」といって拒否反応を示すことがある。齢を重ねているから頭も固くなるからか、新しいことを拒否してしまいがちだ。しかし、そんな読者に媚びれば作品はダメになる。
仕切りなおしが成功しているかどうかは別として、思い切った展開に私はプロ作家としての心意気を感じた。その態度は賞賛に価すると思う。(2010/9/13)

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