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ハツカネズミと人間/ジョン・スタインベック

ハツカネズミと人間
ジョン・スタインベック

My評価★★★★

訳:大浦暁生・大和資雄
新潮文庫(1994年7月)
ISBN4-10-210108-X 【Amazon
原題::Of Mice and Men(1937)


カリフォルニアの農場を渡り歩く大男のレニーと小男のジョージ。レニーは気はやさしく力持ちだが、頭が弱かった。彼は動物や綺麗な物が好きなのだが、力の加減がわからないために厄介事を引き起こす。そのために農場を転々としなければならなかった。

レニーは赤ん坊のときクララおばさんに引き取られて育てられたが、おばさんが亡くなってからは、ジョージが彼の面倒を看ていた。
ジョージは機転が利いて賢く、レニーの頭が弱いと仕事を得られないため、それと悟られないようにしていた。そのジョージは、お金を貯めて自分とレニーの土地を持つことを夢見ていた。

農場の親方の息子カーリーは、何かとレニーに突っかかる。自分よりも大男なのが気に入らないのだ。カーリーの新妻は男好きで、レニーに色目を使う。ジョージは女に厄介事の気配を感じる・・・。

********************

中篇という長さではあるが、渡り労働者の希望と挫折が、温かな眼差しで書かれている。その眼差しは、彼らを懐に抱いて包み込むかのよう。現在まで読み継がれているだけあって秀作。
当初から悲劇の様相を帯びており確かに悲劇的な結末なのだが、行き場のないやるせなさや悲哀以上に、社会的な問題意識が強い。後期の作品は思想性が前面に出すぎて物語と噛み合わずに空回りしている感があるが、この作品では思想という形を取っておらず、ほどよく収まっている。

頭が弱いことを隠さなければ仕事に就けないレニー、黒人クルックスへの女の態度、独裁者的な雇用者とそれに従わなければいけない被雇用者の関係。これらは、つまるところ人権意識の欠如の問題だろう。社会的弱者が自分の思うように生きることのできない時代。そんな社会であり時代であったのだろう。

はたして現代では、レニーのような社会的弱者が生きやすい世の中になったのだろうか。私はあまりそんな印象を受けないのだけれど。確かに年々改善されている。しかし当事者主体とは言い切れないし、現実に即しているとは思えず、机上の空論だったり、行政にとって都合のいい改善ではないのかと思うことが多々ある。(2005/6/10)

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ハツカネズミと人間

はじめまして。
ロバート・バーンズのファンです。
「ハツカネズミと人間」というタイトルが、バーンズの「To A Mouse」の引用だということを知り、調べていました。
バーンズが本当に苦労した農作業の中で生まれた「To A Mouse」が、「ハツカネズミと人間」にどのように受け継がれていったのか、とても興味があります。
ぜひ小説を読んでみたいと思いました。
書評に感謝です。

No title

★ETCマンツーマン英会話さん

はじめまして。
「ハツカネズミと人間」はバーンズからの引用なのですか!初めて知りました。
ロバート・バーンズの詩は読んだことがないのですが、 興味が沸いてきました。スタインベックがどう影響を受けたのか、「To A Mouse」を読んでみたいです。
興味深い情報ありがとうございました。
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