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つきのオペラ/ジャクリーヌ・デュエム

つきのオペラ
文:ジャック・プレベール,絵:ジャクリーヌ・デュエム

My評価★★★★

訳:内藤濯
至光社(1994年1月)
ISBN4-7834-0104-7 【Amazon
原題:L'OPÉRA DE LA LUNE(1974)


あるところにミシェル・モランというの男の子がいました。ミシェルはパパも顔もママの顔も知りません。大人たちは忙しくてかまってくれず、ミシェルはいつもさびしそうな顔をしていました。
でも、眠りにつくとニコニコ笑っています。なぜって?空でお月さまが光っていればうれしいから。お月さまはミシェルの大の仲良しで、とても綺麗なものを見せてくれるんです。

綺麗なものとは何かと、大人たちが訊ねました。ミシェルはおつきさまでの出来事を語ります。
パパとママと手を繋いで踊ったこと、それからお月さまに居る人たちみんなが歌って踊る『お月さまのオペラ』。
そこではみんなが働いているけど、くたびれている人はいません。お金を必要とせず、戦争もありません。そして好きなところへ旅行するのです。
お月さまの人たちは地球へもやって来ましたが、長くは居ませんでした。なぜかと言うと・・・。

********************

作中にジャクリーヌ・デュエム詩、クリスチァンヌ・ベルジェ曲による『ミシェル・モランのうた』の楽譜があるのですが、これはミシェルがお月さまで聴いた、羊たちが歌っているうたなんです。お月さまでは羊たちも歌って踊るんですよ。

詩的で哲学的な絵本。でも、「詩的」とか「哲学的」とか考えるのは、大人だからかもしれません。子どもは難しく考えず、もっと素直に受け止めるのかも。
お月では誰もが生き生きと過ごしており、地上でのような苦しみや悲しみはありません。
それは月にユートピアを求めるというよりも、いかに地上(地球)が殺伐とした世界であるか、私たちの世界はどうあるべきか、私たちはどう生きるべきか。ということを示しているよう。
しかし、「自分だけが楽しければいい」ということではないんですよね。オペラは、一人ではできないのだから。
平明な言葉で書かれているのですが、考えれば考えるほど哲学的に感じてしまいます。
でも難しく考えずに、ミシェルと一緒にオペラを楽しみたい。こういう絵本を読んで楽しむ、そんな気持ちのゆとりこそが、私たちに必要とされているのではないでしょうか。

原作者のジャック・プレベール(1900-1977)はパリ近郊生まれの詩人。詩集『パロール』、シャンソン『枯葉』の作詞、映画『天井桟敷の人々』(1945年,仏)のシナリオなどでつとに有名。
枯葉は好きな歌ですが(いろんな人が歌っているけどイヴ・モンタンが一番!)、同じ人がこの絵本の原作者だとは思いませんでした。枯葉のイメージがあるので、絵本と結びつかなかったんですよ。

ジャクリーヌ・デュエム(1927-)はヴェルサイユ生まれの画家。モーリス・ドリュオン『みどりのゆび』の挿絵を描いた人と言えばわかるでしょうか。
『みどりのゆび』から17年ほどを経て描かれた絵本なので、多少絵柄は異なるのですが(ペン画とカラー(たぶん水彩)の違い)、構図の取り方がやはり同じ画家だなと思いました。
文章から受ける若干抽象的なイメージを、楽しげにのびのびと描いているように思いました。(2005/11/23)

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