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ふしぎな家の番人たち/ルーシー・M・ボストン

ふしぎな家の番人たち
ルーシー・M・ボストン

My評価★★★

訳:ト部恵子
カバー画・挿画:ピーター・ボストン
岩波書店(2001年7月)
ISBN4-00-115565-6 【Amazon
原題:The Guardians of the House(1974)


トム少年の一家は、新しく出来たビルの立ち並ぶ工場町に引っ越してきました。でも、それまでウェールズの田舎の農場に住んでいたトムは、何もかもが新しい町になじめませんでした。トムは野原や木立、岩や羊など、古くからあるものが好きだったからです。
トムが釣りに行く川は公園のなかにあり、公園の奥には、木々に囲まれてとても古い時代のお屋敷がありました。お屋敷には年老いた女主人と庭師がいます。みんなは女主人を魔女ではないかとウワサして、お屋敷を「おばけ屋敷」と言って恐れていました。
ところが、トムは秘密めいたお屋敷に心を惹かれ、家人の留守にそっと忍び込みます。
お屋敷には天井の梁の木彫りの天使の顔、小さなインドの頭像、古代ローマ時代のトリトンの頭像、藁で作られたロバのお面など、古くて不思議なものがたくさんありました。トムは頭像たちの声に誘われて、恐い目にも遭うけれど、不思議な体験をします。

********************

訳者あとがきによると、お屋敷はボストン夫人(1892-1990)が、50年以上住んでいたマナーハウスがモデルとなっているのだそうです。
ボストン夫人のマナーハウスと言えば、グリーン・ノウ。古いお屋敷で起こる不可思議な現象は、『グリーン・ノウ』シリーズを読んだ人ならおなじみですね。
木彫りの天使・インドの頭像・トリトンの頭像・ロバのお面などは、現在は記念館となっているマナーハウスで見ることができるそうです。そうそう、藁で作られたロバのお面にはイタズラしないように。でないと不気味なことが起こりますよ。
この作品は『グリーン・ノウ』シリーズに見受けられる特徴がよく顕われていて、グリーン・ノウの物語をもっとコンパクト(長さ的にも内容的にも)にして、もう少し年少向けにしたような感じです。ちなみに作者が82歳のときの作品なのだそうです。

いまの日本では、古くてしかも住居として使われている家を見かけることは殆どありませんが、トムではないけれど、しん静まり返った古い家には秘密めいたところがありますよね。
トムは古いものたちに誘われて、古いものたちに秘められた歴史や過去を体験します。
しかし、その体験は決して楽しいだけのものではありません。全体的に楽しさは強調されておらず、トムが古いものたちに威嚇されているかのような印象を受けました。
しかも古いものたちは、執拗にトムに問い続けるのです。トムはその問いに答えることで、自分自身を見つめ、自分を識ることができ、お屋敷に忍び込んだときよりも強くなるのです。この場合、強さとは物理的な力ではありません。
わりと短い作品としては、作者の考えが如実に顕われているように思います。(2004/5/12)

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