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グリーン・ノウの煙突/ルーシー・M・ボストン

[グリーン・ノウ物語2]グリーン・ノウの煙突
L・M・ボストン

My評価★★★★☆

訳:亀井俊介
挿画:ピーター・ボストン
評論社(1977年10月)
ISBN4-566-01001-5 【Amazon
原題:THE CHIMNEYS OF GREEN KNOWE(1958)


シリーズ2作目。トーリーは復活祭の休みを、おばあちゃんの住むグリーン・ノウで過ごします。でも大好きな絵がありませんし、子どもたちもいません。
グリーン・ノウは古い史跡なので法律で保存しなければならず、そのための修繕費を得るためでした。
おばあちゃんは、せめて宝石があったならと言います。宝石は18世紀後半の火事のときに、どこかへ消えてしまったのだそうです。トーリーは館を探索して、宝石を見つけ出すことにしました。

宝石の持ち主は、英国海軍にいたオールドノウ船長の妻マリア・オールドノウ。おばあちゃんはパッチワークをしながら、オールドノウ船長と妻マリア・オールドノウ、息子のセフトン、娘のスーザンについて話してくれました。
船長は立派な人でしたが、マリアは虚栄心が強く散財家で、子どもたちの教育には興味がなく、社交にかまけていました。セフトンは美しい子どもだけれど、わがままなドラ息子。そして、スーザンは生まれつき目が見えなかったのです。
乳母が過保護だったため、スーザンは何もさせてもらえませんでした。マリアも乳母も、スーザンには何もできないと決め付けていたのです。
父親の船長は、中南米で黒人の子どもジェイコブを奴隷商人から救いました。そしてスーザンの世話をさせるために、ジェイコブを連れ帰ります。
ジェイコブが来てから、スーザンはいろんなことを覚え、外で遊ぶことも出来て活発になりました。トーリーはそんなジェイコブとスーザンに出会います。

********************

子どものころに読んだことがあるのですが、内容をスッカリ忘れていました。でもジェイコブが登場してやっと思い出しました。そうだ、元気のいいジェイコブが好きだったんだ。セフトンは大っ嫌いでしたね。いまでも嫌いだな。
子どものころは、ある人物に対して好きか嫌いかの感情で読んでいたと思うけれど、いま読んでみると人物造型がシッカリしていることに気づかされました。結構シビアですねえ。
人物造型がシッカリしているからこそ、彼らの言動が理解できる。その上で善悪が判断される仕組みになっていると思います。

船長は、スーザンが自分でいろんなことを出来るようにしたいと考えています。でもマリアと乳母は、スーザンには何も出来っこないと決め付けています。さらには、スーザンには知性も感情もないかのように扱うのです。つまり全人格を否定しているということですね。これはもう最悪でしょう。目は見えずとも耳は聞こえているのだから。実際、聴覚からの情報量は意外に大きいのに。
現代人でもよく陥りがちなのですが、例えば言語障害のある人に対し、うまく喋れないからといって知的障害まであるかのように振舞う人がいます。これは注意したいことです。

マリアは妻としても母としても問題ありで、人は見た目だけではないという見本。なぜ船長が結婚したのか不思議でなりません。
そんなマリアとセフトンに、キャクストンという悪賢い召使が取り入っています。キャクストンにとって、マリアとセフトンのような物事を深く考えないタイプは操りやすいのでしょうね。
逆にマリアとセフトンにとっては、耳に痛いことを忠告してれる人より、自分たちをよいしょしてくれるキャクストンの言葉が心地良いのでしょう。それが物事を悪化させるのですが。

さて、作中で火事が起きるのですが、いったいなぜ火事になってしまったのか?宝石は誰がどうしたのか?スーザンは幸せになれるのか、トービーたちは戻ってくるのか?それらはトーリーならずとも気になるところ。
前作ではトービーたちがどうなったのかという辛い真実が明らかにされましたが、今作はパッピーエンド。
やっぱりスーザンには幸せになってもらわなくちゃね。ジェイコブにも。最後にはすべてが治まるところに治まって、平安が訪れるのです。
私はシリーズ中で、いちばん密度の濃い物語だと思います。(2006/9/4)

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