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七番目のユニコーン/ケリー・ジョーンズ

七番目のユニコーン
ケリー・ジョーンズ

My評価★★☆

訳:松井みどり
文春文庫(2006年5月)
ISBN4-16-770523-0 【Amazon
原題The Seventh Unicorn(2005)


パリの国立クリュニー中世美術館の学芸員アレクサンドラ(アレックス)は、博物館にふさわしい中世の作品を得るため、資産処分したいというブランディーヌ(女子)修道院を訪れた。
年老いた修道女たちは、大司教によってリヨンの隠居所に移され、修道院はホテルに改造されるという。修道女たちは、ブランディーヌで生活し続けるために、資産を処分して維持費を賄いたいと考えていた。

アレックスは古いフランス語で書かれた詩と、古いスケッチをみつける。詩は、とある悲恋物語だった。
その悲恋はタペストリーと関係しているらしい。スケッチは一角獣と貴婦人シリーズの図案だった。

クリニュー美術館が所蔵している、中世タペストリーの最高傑作の一つと謳われる『一角獣と貴婦人』はシリーズ6枚。だがスケッチは、現存する6枚のタペストリーとは異なっていた!?
7枚目のタペストリーのスケッチ?それともまったく別のタペストリーのスケッチなのか?どちらにせよ、タペストリーは実在するのか?アレックスは謎を解くべく奔走する。

ジェイクは絵に専念するために美術学部教授の仕事を辞め、イギリスに婚約者を残し、学生時代を過ごしたパリにやってきた。そして、かつて恋人だったアレックスと14年ぶりに再会する。アレックスは夫を亡くして一人娘を育てるキャリアウーマンになっていた。
アレックスがジェイクに協力を求めたことから、二人は急接近。だが、自分たちの気持ちに正直になれず、すれ違いばかり。タペストリーと二人の愛の行方は?

********************

現存する中世タペストリーの傑作の一つとして有名な、一般的には『貴婦人と一角獣』(フランス語名を直訳すると「一角獣を連れた貴婦人」となるのだそうだ)といわれる6連作のタペストリー。
中世の西欧絵画を語る上でも外せないタペストリーなのだ。15世紀末にリヨンの豪商ジャン・ル・ヴィストが制作させ、ブリュッセルの織物工場で織られたとされている。
「詩的でミステリアスな美しさ」という点では、最高傑作のタペストリーだと思う。中世タペストリーの中では、私が最も観たいと思っている作品である。
このタペストリーをテーマにした小説では、他にトレイシー・シュヴァリエの『貴婦人と一角獣』がある。

この連作タペストリーは6枚なのだが、本当に6枚で完結しているのか?もしかすると7枚目があり、それでシリーズが完結するのではないのか?では、7枚目はどこにあるのか?
オークションにかけたら、どれほどの値段がつくのか?7枚目のタペストリーをめぐる物語。

というとミステリーぽく感じるだろうが、謎解きの部分は都合がよすぎ。謎解きだけではなく、すべてが都合良く収まってしまっている。ミステリー色はほとんどなく、サスペンス色はまったくない。7枚目でタペストリーの構成が完結するというのは面白い発想だけれど、図像解釈に新鮮味がない。
要はアレックスとジェイクのラブ・ロマンスなんだな、これが。二人のロマンスの方が印象に残る。イメージ的には文春文庫よりも、MIRA文庫(読んだことないけど)あたりの方がしっくりしそう。

作者はアメリカの女流作家で、本書がデビュー作。いかにもアメリカ人らしい小説なんだよなあ。これがフランス人の作家だったら、もっと知的遊戯さのある捻りを入れると思うんだけど。でなければ、もっとミステリー色かサスペンス色があればよかったのに。
せっかく最高傑作の一つといわれるタペストリーを題材にしているのに、ただのラヴ・ロマンスになってしまっているのが残念。まったくつまらないというわけではないんだけど、私の好みではなかった。
でも、はじめからラブ・ロマンスと知って読むぶんには、デビュー作としては結構いい出来ではないかと思う。歴史を扱った甘いラヴ・ロマンスを好きな人にはいいんじゃないかな。(2009/5/9)

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