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ハリネズミと金貨/ヴァレンチン・オリシヴァング

ハリネズミと金貨
作:V・オルロフ,絵:V・オリシヴァング

My評価★★★★★

訳:田中潔
偕成社(2003年12月)
ISBN4-03-963810-7 【Amazon


ハリネズミのおじいさんが、森の小道で金貨を拾いました。年老いての冬ごもりのしたくは大変だけれど、この金貨のおかげで干しキノコを買って、のんびりと冬を過ごせそう。しかし、いくら探しても、もうどこにも干しキノコは売られていませんでした。

ハリネズミのおじいさんが困っていると、リスが声をかけてきました。事情を聞いたリスは、気前よくキノコを分けてくれました。しかもタダで。
リスは、おじいさんの金貨は、ぼろぼろになっている靴に使うといいと言うのです。そこで、おじいさんは靴を買いに行きます。ところが気のいいカラスが、ドングリの実で靴を作ってくれたのです。
カラスは、その金貨であったかい靴下を買うようにと言ってくれました。ハリネズミのおじさん、今度は靴下を買いに行きました。

夕暮れどき、家に帰る途中でハチミツを買い忘れたことに気づきました。咳に効くハチミツがないと大変です。でも、すぐに暗くなってしまうので、あきらめるしかありません。
そのとき、いつもお話を読み聞かせてやっている子グマが現れて・・・。

********************

プロフィールによると原作のウラジーミル・オルロフ(1930-1999)は、ウクライナのクリミヤ地方で活動した児童文学作家、詩人、劇作家。クリミヤ地方はソ連時代に、ロシアからウクライナに領土が変わったのだそうです。
ヴァレンチン・オリシヴァング(1961年生まれ)は、スヴェルドロフスク(現エカチェリンブルグ)の芸術学校を卒業後、モスクワ国立映画大学でアニメ制作を学んだそうです。テレビ番組などで活躍し、いまロシアで最高のアニメ画家と言われているそうです。本作は、訳者の依頼によって描き下ろされた日本オリジナル版とのこと。

ハリネズミのおじいさんは、拾った金貨で冬ごもりに必要な物を用立てようとします。でも、みんなの好意で金貨の出番がありません。帰り道、おじいさんは金貨をみつめて考えました。このときおじいさんの取った行動こそが、この絵本の最も重要な箇所。
お金は何のためにあるのか。それはおそらく貨幣制度の発達以来、繰り返し問われ続けているのかもしれません。また、私たちの社会はどうあるべきなのか?人との人との係わりの原点とは?などと考えてしまいます。

この絵本はソ連的な内容と言えなくはないですが、現代ではもはやソ連色は感じられません。国や時代を越えて社会に問いかける力を有しており、その問いかけは今後も普遍性を持ち続けると思います。
とは言え、そんな難しいことはまったくないんですよ。経済学者や社会学者に任せれば、難しい言葉を連ねてごちゃごちゃにしてしまい、最後にはわけがわからなくなってしまうところですが、スパッと誰にでもわかる内容になっています。
肝心なのは、お金だけがすべでてはないってこと。お金では得えられないものがあるということなのですが、それが嫌味なく語られているんです。なによりほんわりと温かみがあり、幸福な気分に包まれる絵本。

オリシヴァングの絵は、水彩とパステルでしょうか、ひんやりと冷たく澄んだ晩秋の森の空気がよく伝わってきます。
森とはいっても、日本のこじんまりとした森とは違うんですよね。木立ちの様子や、空の広がり方、地平線の表現が違うんですよ。奥行きが違うんですね。ウクライナかロシアの森なのでしょう、空間の広大さがうかがえます。空間表現と空気感から、実際にこういう感じなのだろうと思わせます。
晩秋なのでさびしいような風景ですが、そのぶん登場人物(この場合は大小の動物)たちの温かな思いやりが際立つように思いました。(2008/11/19)

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