スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カラスとイタチ/バリー・ロペス

カラスとイタチ
バリー・ロペス

My評価★★★☆

訳:金原瑞人,絵:トム・ポート
アスラン書房(1993年10月)
ISBN4-900656-04-6 【Amazon
原題:CROW AND WEASEL(1990)


ネイティブ・アメリカンの価値観と伝承を動物に喩えた寓話。
絵本なのだけれど、絵がなくても(絵の出来が悪いということではない。素朴さを感じさせるいい絵です)物語が成立すること、動物に喩えた寓話ではあるけれどロペスの作品はファンタジーや幻想小説ではないと思うので、翻訳小説の範疇に分類しました。

カラスとイタチの若者たちは夢の啓示を受け、一族の長老マウンテン・ライオンに伺いをたてた。二人は長老から、一族の代表として未知の北の果てへの旅を認められた。
お互いに戒め合って旅するように、との助言を受けて。

二人は馬で北へ北へと進路を取り、森を抜けたところで、旅の途中のネズミと出会う。
誰にも出会わさず、二人きりで旅する日々。ちょっとした諍い、何のために何を求めて旅するのかという不安、食糧難を救われたことに対する大地への感謝の想いなどが、二人の胸をよぎる。
世界の背骨と呼ばれる北の果てに辿り着いた二人は、初めて人間を見る。大きな犬歯を持って近づいて来る人間。それはイヌイットの人々だった。

冬までに帰郷する道すがら、アナグマに呼び止められたり、吹雪で遭難しかけてグリズリーに助けられたりする。村に帰りついた二人は、様々な人々と出会って得た知恵を語る。
二人の話を、彼らの子どもやそのまた子どもたちが語り継ぎ、自らも旅に出て、いつしか一族は本当の知恵を身につけていくだろう。

********************

出会いと様々な経験や試練を通じて、カラスとイタチの若者は「生きる」ということ、大地によって「生かされている」ということをみつめてゆく。それは自分自身をみつめることでもある。
二人が学び得たものは、大地とともに生きるということはもちろんだが、いちばんは「自分に誠実であること」ではないかと思う。
自分をより良く見せたがるイタチは、次第に見得を剥いで(剥がされて)いく。それはなぜかと言うと、大自然の中では虚飾は通じず、人間性が剥き出しにされた本質的な姿で向き合うしかないからだろうと思う。

大自然ので生きるには、知識だけではなく、知恵が必要とされるのだと思われる。知恵とは、個人が秘匿するのではなく、万人が共有するものなのだ。
シンプルだけど力強い知恵に気づいてゆく二人を、ロペスは飾らず気負わずに語る。
ただ、訳の雰囲気が合わないような・・・。滑らかで読みやすい訳なのだけれど、原作者のカラーより訳者のカラーが出すぎているような感じがして違和感を覚える。
この作者の本はすべて翻訳でしか読んでないのだけれど、ロペスの文体はもっとシャープでキレがあると思うのだが。(2003/7/17)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。