スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

パリのおばあさんの物語/セルジュ・ブロック

パリのおばあさんの物語
文:スージー・モルゲンステルヌ,絵:セルジュ・ブロック

My評価★★★★☆

訳:岸恵子
千倉書房(2008年10月)
ISBN978-4-8051-0913-7 【Amazon
原題:Une vieille histoire(1985)


パリのおばあさんの物語おじいさんに先立たれ、子どもは独立し、アパルトマンで独り暮らすおばあさん。体が不自由になってきたので買い物に行くにも大変です。

かつては刺繍や編み物、料理が得意だったけれど、いまではもうできなくなりました。物忘れがひどくなってきたけれど、おばあさんはグチを言いません。できなくなったことを嘆きグチるより、できることをやっていくから。
白くなった髪が増え、顔にはシワが増えても、自分の顔に満足します。シワはおばあさんが生きてきた苦楽の証しなのだから。

独居おばあさんの人生訓かとおもいきや、読み進むにつれて、次第におばあさんの経歴が明らかになっていきます。
中央ヨーロッパからの移民夫婦であること。フランスにきた当初、言葉が不自由なために失敗したこともあるけれど、いまでは笑い話。
でも、この一家はたんなる移民ではないんです。ユダヤ人で、ナチスドイツの時代を生き抜いてきたのです。

********************

女優の岸恵子さん翻訳によるフランスの絵本。シックな表紙絵と手に持ちやすいサイズがいいですね。セルジュ・ブロックのイラストは、なんとなくフランスらしい感じの軽やかさがあり(フランス人イラストレーターだから当然か)、親しみがもてます。

ナチスドイツ時代、夫はゲシュタボに捕まり消息不明。おばあさんは、子どもたちを山中の修道院に預け、一人で(おそらく夫の消息を得るために)苦しい日々を耐え抜いたんです。
いまでは孫たちがいますが、おばあさんは子どもや孫たちが突然の不運に襲われるのではないか、という心配が消えません。どれほどの年月が経とうとも、戦時中の苦い体験が消えないんですね。
おばあさんは楽しかったことや美しい思い出とともに、苦しい記憶をも抱えつつ、思うようにできなくなったいまの生活を含め、自分が生きてきた道を受け入れています。それは自分の人生に誇りをもっている、ということですよね。

自分の親を見ると、昔はできたことが、高齢となっていろんなことができなくなってきまています。体も思うように動かなくなってきているし。いずれは自分の番。
そのときどのように生きるか、というのはいずれは他人事ではなく、大事な問題になってくるわけです。グチって生きるのも一生ですが、それがイヤならば、どのような心持ちでいればいいのか。

突然の不幸に見舞われない限り、誰もがいつかは老いを迎えますよね。そのときどう生きるのか、どのような心がけでいればいいのか、ということのヒントがあります。
本書は絵本ですが、大人、特に老後を控えた世代にこそ読んでみてほしいと思います。(2011/1/17)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。