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ナシの木とシラカバとメギの木/アロイス・カリジェ

ナシの木とシラカバとメギの木
文・絵:アロワ(アロイス)・カリジェ

My評価★★★★

訳:大塚勇三
岩波書店(1970年11月)
ISBN4-00-110559-4 【Amazon
原題:BIRNBAUM,BIRKE,BERBERITZE(1967)


スイスの山奥「カンテルドン」という村の一軒の家の脇に、ナシとシラカバとメギの木があります。
メギの木は背が低くて、枝はクネクネと絡み合って刺だらけですが、春には小さな黄色い花を咲かせて、秋には真っ赤な実をつけます。でも実はすっぱくて食べられないんです。
家には、いつもパイプをくわえているお父さんのドメニと、お母さんのネーサ、ビトリンという男の子とバベティンという女の子が住んでいます。

バベティンはお母さんに裁縫を教わったので、シラカバの下のベンチに腰かけて繕い物をしていました。
自分用の裁縫道具は、お母さんにもらったキラキラ輝くガラス玉のついた真っ赤な袋入れていて、この袋を宝物のように大切にしているんです。
一方、ビトリンは小鳥がナシの木に巣を作るのを眺めていて、卵からヒナが育つのを楽しみにしています。でも巣はカラスたちに荒らされて、卵は壊されてしまいました。
その騒ぎにバベティンが気をとられている間に、宝物にしている赤い袋がなくなってしまったのです!
ビトリンとバベティンはそれぞれガッカリ。

やがて夏が過ぎ秋が過ぎ、ある雪の日にバベティンの赤い袋がみつかります。
そして春がきて、ウグイスがメギの木に巣を作りました。ビトリンは、ウグイスの巣がカラスやカササギにみつからないように、そっと見守っていました。

********************

四季を通じてスイスの山の生活が語られます。ビトリンとバベティンのように、日々の生活上でのちょっとした楽しさや喜び、悲しみ。そんな日常が綴られているんです。
カリジェの魅力は、素朴な生活そのものを描いてみせるところにあるだろうと思います。

この絵本ではスイスという山の生活とか、バベティンの赤い袋やウグイスの巣について語られています。私たちにとってはどれも珍しいことばかりですが、二人の子どもにとって、すべては日常のなかの出来事です。
何か特別なことではなく、誰もがそれぞれに日常生活で感じるであろうこと。そんなささやかで見逃されてしまいそうなことを、カリジェは絵本として見せてくれるのです。

そしてビトリンとバベティンや小鳥たち、自然などに秘められた柔軟さやたくましさ。
たくましさというのは体力的なことではなくて、変な言い方ですが、悲しみを悲しみとして受け止めて生きてゆく強さとでもいうような感じかな。それを「生命力」とでもいうのかなあ、と思うのですが。
大袈裟かもしれませんが、兄妹の素朴な生活から、そんな種類のたくましさや健全さを感じるんです。(2002/2/25)

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