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高山辰雄墨画集 アッシジへ行く/高山辰雄

高山辰雄墨画集 アッシジへ行く
高山辰雄

My評価★★★★

解説:米倉守
角川文庫(2002年3月)
ISBN4-04-362401-8 【Amazon


高山辰雄(1912(明治45)年生まれ)は現代日本画を代表する一人。1965年に第15回芸術選奨文部大臣章、1982年に文化勲章を受賞。
本書は講談社(1979年9月刊)の画文集を文庫化したもので、函入りで、本体は横型。
この人の絵をどこかで目にしたことがあるように思うのだが、思い出せない。たぶん、ちゃんと目にするのはこれが初めてだと思う。

1977年~1978年に矢立てを持って、フランスとイタリアの田園地方を旅した際のスケッチ45点と日記から成る。冬のフランス、パリ北東のサンリス(フランク王国の古都)郊外から、サンス付近やバルビゾン、ブルゴーニュ地方へ。
いまだ雪が残るなか、春を待ちわびる村々の静けさ。こういう深閑とした人っけのない景色は、日本の東北地方で見られる風景と雰囲気がよく似ているような。建物を抜きにすれば、日本の風景といっても通じるんじゃないのかな。
春を迎えたディジョン、エクサン・プロヴァンス付近やアビニョン、オランジ(オランジュ)などを経由して、イタリアのゼノバ(ジェノバ)へ。そしてイタリアのサンジミアーノ(サン・ジミニャーノ)からフィレンツェ、ビンチ(ヴィンチ)村などを経てアッシジまでの旅。

春から初夏へと移り変わる季節、木々の緑は次第に深くなってゆき、明るく軽やかな空気感が伝わってくる。澄明な空気感、木々が芽吹き繁る田園や山などが、柔らかな筆致で表現されている。
私には、総じて大地に力点が置かれているように思われる。変な表現だけれど、自然の鮮度の良さといったものが感じられる。

「アッシジ裏山」という絵があるのだが、とても山深い。
氏の描いたアッシジは1978年のことだから、現在とは多少は異なるかもしれないが、さほど変わらないと思うのだ。でも、どこか私の印象と違うように感じる。アッシジってこんなふうだったっけ?そう感じるのは画面が整然としているからだろうか。

これは好みの問題なのだけれど、全体として私には静かすぎると言うか温度が低いと言うか、山も町も清潔な感じで、きれいで静かすぎるように思えてしまってもの足りなくもない。
画面から感じる静けさは、日本画に共通する静けさのように思う。特にフランスやイタリアの風景では、日本的な風景の要素が盛り込まれているように感じるのだが。
ただ、文庫サイズで見るからそう思うのかもしれず、原画はまた違うのかもしれない。

同じ風景を眺めても、誰もが同じような印象を抱くわけではない。自分の感じたものを絵に表現するのが画家であって、そういう意味では確かに氏の見た風景が表現されている。あくまでも高山辰雄という画家の目で見、再構成され純化された景色なのだろう。そういう意味において優れた画家なのだろうと思う。(2007/4/27)

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