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テンペスト/シェイクスピア

テンペスト
ウィリアム・シェイクスピア

My評価★★★☆

訳・解説:小田島雄志
白水社・シェイクスピア全集V所収(1986年3月)
ISBN4-560-03485-0 【Amazon
原題:The Tempest(1611年頃)


テュニスでの婚礼の帰りに、ナポリ王アロンゾー、王の弟セバスティアン、王の息子ファーディナンド、ミラノ大公アントーニオらを乗せた船は嵐に遭う。彼らは船から放り出され、孤島へ漂着。しかし、それは孤島の岩屋に住むプロスペローの魔法の仕業だった。

かつてミラノ大公だったプロスペローは、国政を弟アントーニオに任せて、秘術の研究に没頭していた。だがアントーニオはナポリ王に隷属し、自らがミラノの大公を名乗った。
プロスペローはまだ幼児だった娘ミランダとともに、船に乗せられてミラノから追放された。父娘が漂着したのがこの孤島だった。

プロスペローは、空気の精エアリエルを使役して、弟アントーニオとナポリ王に復讐しようとする。まず王子ファーディナンドを仲間から引き離す。だがファーディナンドは美しく成長したミランダをひと目見て・・・。アントーニオはといえば、セバスティアンを唆し、王の座を狙わせようと画策。
一方、プロスペローの奴隷で半漁人のような姿をしているキャリバンは、船の賄い夫と王の道化師を唆してプロスペローを殺そうとする。

********************

妖精の住まう魔法の島、仮面劇、若い二人の恋などがあいまって、ファンタスティックな戯曲。合作を除外すると、シェイクスピア最後の戯曲なのだそうです。
シェイクスピアの戯曲の魅力と同時に難しさは、多様な読み方ができるということではないのかな。どう読むか、どう感じるかは人によって異なるのではないかと思うのです。
解釈はともかくとして、この戯曲は全体の調和がとれているように思いました。文字で読むよりも、やはり舞台で観る方が格段に面白いだろうと思われます。

異形のキャリバンは、セティボスを崇めるアルジェ生まれの魔女シコラクスの息子。
当初プロスペローはキャリバンに言葉を教えるのだが、その性質が悪だと判断して下僕にするんです。このキャリバン、卑屈でねじけているのですが、マヌケなところもあって意外に憎めません。キャリバンの感情が、あくまでも人間的だからなんですよね。
エアリエルはシコラクスが生きていたときに、魔女によって松の木に閉じ込めれていて、それを解放してやったのがプロスペロー。エアリエルも人間的な感情を持っていて、このキャラクターが作品の一つの魅力になっていると思います。

解説によるとこの喜劇は、1611年の万聖節の夜に、ジェイムズ一世の前で上演されたという記録があり、これが「テンペスト」の名を初めて記録したものだそうです。
当時はバミューダ島での遭難の記録がいくつか出版された頃なのだそうですが、その他の部分でも、この作品は新大陸に関わりがあるとみなされているといいます。
作中で顧問官ゴンザーローは、ナポリ王らの前でユートピア思想を語るのですが、これが君主ジェイムズ一世の前で上演したにしたには意表を突くセリフ。
その中に暮らしに必要なものは自然が生み出してくれます(p418)というセリフがあります。
検索していたら、既存の訳はすべて誤訳で原文はラテン語の語句に対応しており、起源的に遡ると自然が生み出してくれるすべてのものは共有ですとなり、素朴な共産主義になる、ということを書いているサイトがありました。
確かにその方が、ゴンザーローの語る国政論としてはしっくりします。ただ、シェイクスピアの思想を直ちに原始共産主義と言い切れるかどうか。原文もラテン語も知らない私にはなんとも言えないです。(2006/11/12)

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