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片目のオオカミ/ダニエル・ペナック

片目のオオカミ
ダニエル・ペナック

My評価★★★★

訳:末松永海子
カバー画・挿絵:牧かほり
白水社(1999)
ISBN4-560-04674-3 【Amazon
原題:L'œil du loup(1984)


動物園の青いオオカミの檻の前で、少年が何日もじっと立っていた。オオカミは初めこそ無視していたが、次第に気になってきた。やがてオオカミは少年の前に座り、しっかりと相手を見据えた。
オオカミは片目だった。すると少年はオオカミを安心させようというのか、自分も片目をつぶってみせた。

オオカミの瞳には、母親の<黒い炎>と兄弟たちが映っていた。一家は人間に追われてアラスカの大地を逃げ回り、そのときに青いオオカミは片目を失った。それがオオカミの物語だった。

少年はオオカミに名前を聞かれた。彼は「アフリカだ」と言う。<アフリカ・ンビア>。
その名前は、親もなく名もない少年が各地を転々としているときにつけられたものだった。
少年は動物と話すことができた。そして各地で様々な動物と友だちになったのだけれども、自分がいなくなったあと動物たちはどうしただろう?

********************

少年とオオカミの対話という、いわば寓話。絵本を読む感覚に近く、簡潔でテンポがよく色彩豊かな文章によって、ラストではいつの間にか幻想的な場面に惹き込まれます。そして、声高ではなく、静かに心へと訴えかけてくる作品。
少年の「語り」は、それを聞く者、にやすらぎと活力を与えるんです。何も見ようとしなかった片目のオオカミは少年と通じ合うことによって、目(心)を開いていくんです。

現実の動物園の上に、二重映しで幻想世界が拡がるのですが、どこかしら奇妙さを感じるのは私だけでしょうか。
イメージはハッキリしているのですが、全体がどこかしら奇妙。奇妙というより、トリッキーという感じ。
その奇妙さは文体や行間に潜んでいるのでしょうか?
掴みどころがありそうで、掴みどころがないような感じなんですよねえ。

物語の背景には、動物保護やアフリカの自然破壊、工業化への波など、アフリカの社会問題が掲げられています。作者は現実を批判しているけれども、現実を拒否していません。現実に対してどのように向き合うのか、どうやって生きるかというようなことを描いていると思います。

余談ですが、少年の友だちでラクダの<お鍋くん>のとぼけっぷりがユーモラス。なにより<お鍋くん>という名前ユニークでいい。(2001/5/11)

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