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古書店めぐりは夫婦で/L&N・ゴールドストーン

古書店めぐりは夫婦で
ローレンス&ナンシー・ゴールドストーン

My評価★★★☆

訳:浅倉久志
ハヤカワ文庫NF(1999年9月)
ISBN4-15-050234-X 【Amazon
原題:USED AND RARE(1997)


誕生後が8日しか違わない夫婦が、お互いのバースデイ・プレゼントの金額を20ドル以内と取り決めた。
妻のナンシーは、夫へのプレゼントに新刊書店で『戦争と平和』のハードカバーを探すが、ギフトにするには造作が気に入らない。ナンシーは古書に詳しい友人クレランスの助言を得て、古書店で購入。

本を気に入った夫と妻は、購入した古書店へでかけて、新刊と古書の何がどう違うのかを知る。
やがて古書の世界にハマっていき、近所の店をぎ漁り尽くした夫婦はシカゴへ。翌年のバースディには、娘をベビーシッターに預けてボストンへと向かうまでに。
古書店で稀覯本の値段の高さに呆れるが、前からほしかったB・トレイヴンを発見!
「初版本をコレクションするつもりはない」「一冊の古本に45ドルを払うのは身のほど知らずだ」と思いつつも、「この本だけ」と思って購入してしまう。
古書市の見物、ニューヨークでのオークションへの参加によって、夫婦は古書の知識を仕入れるともに初版本に魅せられていく。

********************

作家であること以外どこにでもいそうな夫婦が、古書・稀覯本のコレクターへと変貌するまでのエッセイ。
エッセイというより小説に近いような。ときおり見せる夫婦の好みの違いや、各古書店の主人や店員の個性が書き分けられているのはさすが作家。

古書というとカビ臭いと思われがちで、素人にはどう見分ければいいのかわからない。夫婦はズブの素人の目から見て、何がどう違っていて、どんな本に価値があるのかを店員に訊ねていきます。
読む側は夫婦と一緒に、版による違いや初版本の種類、価格の付け方、専門用語の意味するところを一から知ることになるんです。そしてアメリカの古書界に潜入していくわけですよ。
この作品では、どこにでもいる「庶民的夫婦」の目から見た古書の世界というのがポイントでしょう。
家計をやりくりしながら古書を購入する姿は、現実味があって親しみがもてます。これが夫婦でなく単身者の話だったら、専門的でオタク的な話になっていたんじゃないかな。

ディケンズ、ヘミングウェイ、カズオ・イシグロ、ドス・パソス、フォークナー、ル・カレ、ラヴクラフト等々・・・。作中には邦訳もされている英米の現近代文学を中心に、様々な本が登場します。自分の好きな作家が、アメリカの古書界でどんな評価を受けているのか気になるところ。
モーム『アシェンデン』の初版は2500ドル。フィッツジェラルド『華麗なるギャツビー』の初版は、ときには1万ドル以上も!!
スタインベックの『月は沈みぬ』は初版175ドルだけれど、夫妻は別の店で95ドルで購入。しかし別の店では、初版らしきものが5ドルという。これほどの価格差の理由って?

アメリカの古書・稀覯本の知識を得ながら、宝物を探すかのようにワクワクとした夫妻の興奮が伝わってきました。本を蒐集する、と言うよりも古書を漁色する愉しさに満ちたエッセイ。英米ブンガク好きで古書好きにおすすめ。(2001/6/19)

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