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かげの国/ジョージ・マクドナルド

かげの国
G(ジョージ)・マクドナルド

My評価★★★

訳:田谷多枝子
挿画:竹川巧三郎
太平出版社(1978年6月)[絶版]
ISBN4-8031-2011-0 【Amazon
原題:The Shadows(1864)


妖精たちは人間の中から王を選ぶ。王といっても妖精の国に住むのではなく、必要なときだけいてくれればいいのだ。しかし妖精の国へ連れて行ける人間は、その人間が生きるか死ぬかのときだけ。
その王に、重い病気で寝たきりのラルフ・リンケルマンじいさんが選ばれた。リンケルマンじいさんが家に戻ると、見たことのない薄黒い妖精たちが、部屋中でふざけまわっていた。その妖精は影たちだった。
影たちは仕事に出る前に、アイスランドにある教会に集まるという。リンケルマンじいさんは影たちに支えてもらって、影の教会へ連れて行ってもらう。

影たちは人間の影だった。影たちはラルフ王(リンケルマンじいさん)に、人間が人工の光に目をくらんでしまい、自分たちの命が危ないと訴える。
リンケルマンじいさんは影たちの仕事や性質がよくわからないので、翌日の夜に影たちの年に一度の集会に参加することにした。集会で影たちは、それぞれの仕事を報告し合う。影たちの仕事とは?

********************

ジョージ・マクドナルド(1824-1905)はルイス・キャロルと同時代に活躍した作家・詩人・聖職者。
巻末の編集部による『解説にかえて』によると、マクドナルドは19世紀イギリス児童文学史を飾る記念碑的作家とのこと。
スコットランドに生まれたマクドナルドは大学に進学するけれど、産業革命のあおりで父親の紡績工場が倒産。以後、独学で文学の道を目指したそうです。
27歳で結婚して後、文筆生活を入る。ディケンズ、サッカレイ(サッカリー)、ラスキン、ルイス・キャロル、C・S・ルイスなどと交際。本書には当時の写真を数葉収録されています。
特にキャロルと親交が深く、『アリス』の生原稿を初めて読んだのは、マクドナルドの子どもたちだったそうです。

マクドナルドが童話を書き始めたのは1860年代の半ばから。訳者あとがきによると、本作の原書は1864年に刊行された短編集。同時収録された短篇は書かれた年がハッキリしているけれど、この短篇は年代がわからないそうです。
おそらく本作がマクドナルドの初めての童話で、この作品からおよそ10年後に書かれる、『北風のうしろの国』のためのスケッチ説があるそうです。

私には初めての童話かどうかわからないけれど、後年の作品と比べてみた場合、間違いなく初期の作品だと思います。後年の作品で代表作の一つ『リリス』にみられるような死生観がすでにうっすらと表れているのです。ただ、まだ漠然としていて表現しきれていないようですが。
イメージが先行してしまって、話の展開と表現力(訳にもよるだろうけど)がついていってない感じがします。
それと、影の国という異世界との往還が上手く機能していないこと。影たちの役割の説明が説教的すぎるきらいがありますね。全体的にファンタジーというよりも、いまだ文学の域にあるように思いました。
影たちが仕事をした個々のエピソードだけで構成した方が、スッキリとして面白くなったのではないかなあ。でも、面白さを強調してしまうと作家の精神性が欠けてしまって、マクドナルドらしくなくなってしまうのでしょうね。(2004/12/2)

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