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天と地の守り人(第1部)/上橋菜穂子

[守り人シリーズ]天と地の守り人(第1部)
上橋菜穂子

My評価★★★★☆

カバー画・挿画:二木真希子
偕成社(2006年12月)
ISBN978-4-03-5403203 【Amazon


『蒼路の旅人』のつづき。チャグムの死が伝えられた新ヨゴ皇国では、帝はタルシュ帝国との戦争に備え、鎖国を命じる。
一方、自然界には異変が起こっていた。ナユグ(あっち側)に春が訪れたことがサグ(こっち側)に影響しているらしい。
だが、タンダは原因を掴めないでいるうちに徴集され、国は抗戦態勢に入ってしまった。しかし兵力も食糧も乏しい新ヨゴにおいて、篭城は滅びを意味する。
星読博士のシュガは、民を救いたいと願うが力及ばない。それでも、タルシュ帝国との内通者を炙り出そうとする。

バルサにチャグムの手紙が届けられ、彼女はチャグムが生きていることを知る。チャグムはタルシュ帝国に対抗するため、ロタ王国と同盟を結ぶために旅立っていた。バルサはチャグムを守るためロタへ向かうが、何者かに襲われる。
タルシュ帝国は一枚岩ではなく、それぞれ密偵たちを放っていた。
カンバル王国では自国の存亡を賭して、隠密裏にロタの有力者に接近していたが、ロタ王国内部では南部と北部が対立しており、それぞれの密偵が暗闘していた。一方、ロタ王に仕えるカシャル<猟犬>たちが暗躍。
バルサはチャグムと入れ違いになる。そのチャグムは、各国の策略を知ったがために命を狙われる。

********************

守り人シリーズ最終章となるのだそうで、3部作のうちの第1部。全巻読了しないことには何とも言えませんねえ。とりあえず内容を整理。
春になれば、タルシュ帝国と新ヨゴ皇国との戦端が切って落とされます。とはいえ新ヨゴに勝ち目はないんですよ。
自らが神である帝は、他国との同盟も枝国となることも拒絶し、国を閉ざして民とともに滅亡への道を突き進んでしまう。この皇国観は戦時中の天皇制を彷彿させます。民を守るための治世者であり、民があってこその国ではないのかと思うのだけれど。

一方、各国の思惑は錯綜し、水面下では密偵たちが暗躍中。いかに情報が大切かということです。
新ヨゴが決定的に劣っているのは情報収集力のなさですが、それもまた神の国であり神威を信じるがゆえの弊害だと思います。

そんな中、チャグムは民を救うため、たった一人で同盟を結ぶぼうと旅をします。しかし、もはや皇太子ではなく、しかも帝が在位している限り、チャグムには何の権限もありません。
新ヨゴを救うには、まず皇国(観)を変革しなければいけないのですが、状況は非常に厳しい。様々な困難に、敢えて立ち向かおうとするチャグムの成長した姿が涙ぐましい。
バルサは自分の体力が衰えてきたことを自覚しながらも、チャグムを守るために奮闘。

今作で、タルシュ帝国がなぜ他国の領土を欲しているのか、その理由が明らかになりました。
ナユグの動きは、タルシュ本国の異変と関係があるのか?ナユグの胎動は何を意味しているのか?あらゆることが同時進行するため、物語はなかなかに複雑でした。
けれどもチャグムやバルサ、タンダ、シュガたちの誰もが、自分たちの置かれた状況の中で、自分にできる最善の道を模索するんです。しかし道は本当にあるのでしょうか?
ただシリーズ全体を通して感じるのは、「失うことを恐れても得るものはない」ということ。結末は甘いものではないんじゃないかな、と想像しています。(2007/9/17)

備考:2011年5月、新潮文庫化【Amazon

精霊の守り人
闇の守り人
夢の守り人
虚空の旅人
神の守り人<来訪編>
神の守り人<帰還編>
蒼路の旅人
+天と地の守り人(第1部)
天と地の守り人(第2部)
天と地の守り人(第3部)
流れ行く者[守り人短編集]

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