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ジプシーの少女/アーダルベルト・シュティフター

ジプシーの少女
シュティフター(アーダルベルト・シュティフター)

My評価★★★

訳・解説:山室静
偕成社・少女名作シリーズ28(1979年重版)[絶版]
カバー画・口絵・挿画:斉藤寿夫
8397-516280-0904 【Amazon

収録作:ジプシーの少女/ふたりのおばあさん


この本は、偕成社から全40巻でセレクトされた『少女名作シリーズ』の28巻目。訳者が解説で、ただ、これは、やさしく書きなおした本なので、原作とは、かなりおむもきのちがったところがあることを、おことわりしておきます。(p196)と述べているように、かなり子ども向けになっている。
子どもにはわかりやすいが、大人が読むと間のびした感がある。他の訳を読んでいないのでハッキリとは言えないが、原作はあまり子どもの読者を意識していないのではないかと思う。

ジプシーの少女
オーストリアの高原地方のお屋敷に住むエンマとクレメンティア姉妹は、おばあさんに連れられて山へハシバミの実を採りに行った。みんなで座り、おばあさんが姉妹に物語を話してやっていると、どこからか少女が現れた。
少女は離れた場所で黙ってお話を聞いているが、姉妹やおばあさんが話しかけると逃げてしまう。
やがて姉妹ジギスムントという弟ができ、みんなで山へ通ううちに少女と仲良くなった。どうやら少女は姉妹たちの言葉がわからないようだ。

山で激しい雹に降られた姉妹たちは、山の少女に救われる。それをキッカケにして、少女は屋敷の近くまで降りてくるようになった。姉妹のお父さんは山へ行き、猟師たちに少女の素性を訊いて回るが、誰も知らなかった。
お父さんはたぶんジプシーの子だろうと結論づけた。

何年か経ち、屋敷が火事になってジギスムントが逃げ遅れた。だが、山の少女が助け出した。以後、山の少女は家族同様に扱われ、屋敷で暮らし始める。だが少女は・・・。

********************

この作品のタイトルは本来「白雲母」といい、『石さまざま』に収録されている。あまりにもタイトルが違うので、白雲母だとは思わなかった。

山の少女の名前は最後まで明らかにされず、彼女がどこから来たのかはわからない。そしてどこへ行ったのかも・・・。少女がとった行動の理由ついてはハッキリと書かれていないが、読観終わってなんとなくわかった。
成長したエンマとクレメンティアは、屋敷を訪ねてくる若者たちを相手に、ダンスやピアノを弾いたりして暮らす。もはや姉妹は山へ行くことはなかったろう。山のことを考えるのは、少女だけであっただろうな。
長い歳月が経ち、ジギスムントはハシバミ山へ登るたびに、ふっと少女のことを思い出す。山の少女はどのように生きたのだろうと思わずにいられない。そんな余韻を残す。

ふたりのおばあさん
高原地方に、40歳を少し越えた裕福な二人の未亡人がいた。一人はルドミラといい、もう一人はクレッセンティアという名前だった。
二人は仲が悪かったが、ルドミラの息子とクレッセンティアの娘は愛し合っていて、母親たちを説き伏せて結婚した。だが病気となり、二人の孫を残して亡くなってしまった。男孫のオットーはルドミラが、妹のクララはクレッセンティアがひきとって育てることになった。

オットーは甘やかされほしいものは何でもあてがわれ、堪え性のないわがままな青年に育った。クララは厳しく躾けられ、礼儀正しく勉強熱心で働き者になった。
ルドミラは孫の後始末のため貧乏になった。オットーは貧乏が家を出たがお金がなく、金ほしさに罪を犯して牢屋に入れられた。
世間はルドミラを冷たい眼で見るが、クレッセンティアとクララはできる限りのことをしてやった。やがてオットーは出所するのだが。

********************

別題「二人の寡婦」。
シュティフターとしては暗い内容なのが意外だった。これって少女向けの内容ではないと思うのだけれど。
オットーは自業自得だが、ルドミラは救われない。唯一、後年にクララが幸せになったことが救いとなっている。だがクララが幸せとなる部分は、あきれるほど「いかにも」という内容。
誰について何を書きたかったのかわからなくはないが、全体的に焦点が絞りきれておらず、まとまりに欠ける。そもそも展開があまりにも陳腐だと思う。(2004/1/28)

石さまざま

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