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黄金の鎖/アレクサンドル・グリーン

黄金の鎖
アレクサンドル・グリーン

My評価★★★☆

訳:深見弾
カバー画・挿画:稲葉隆一
ハヤカワ文庫FT(1980年2月)[絶版]
コード不明 【Amazon


すべての船員が陸に上がっている間、ただ一人エスパニョーラ号に残っていた船員の少年サンディ。そのサンディの前に二人の男が現われた。
ドュロクとエスタンプと名乗る男たちは、直ちにガーデン岬に向けて出帆してほしいと言う。金貨35枚の魅力と、冒険の匂いに惹きつけられたサンディは出帆する。

ガーデン岬にはドュロクの友人ハヌーヴァーの館、多くのカラクリ通路や隠し部屋で名高い館があった。隠し部屋の一つには、1777年に海賊ピロンが作らせた、純金で錨ぐらいの大きさの環が繋がる<黄金の鎖>がある。貧しかったハヌーヴァーが友人と浜辺で発見し、彼らの事業の資本となった鎖だ。
館には病身の青年当主ハヌーヴァーと、客人の美女ジゲ、ジゲの兄ハルウェイと彼の友人トムソンが滞在していた。
館の図書室でサンディは、ジゲとハルウェイの不可解な言動を目撃する。ジゲたちはハヌーヴァーに対して、何かを謀っていた。ドュロクとエスタンプと図書係のポプは、ジゲたちの陰謀を阻止してハヌーヴァーを守ろうとするが、いまだ決定的な証拠を掴めない。

ハヌーヴァーには婚約者のモーリがいて結婚間近だったが、ふとした誤解が元で別れてしまった。モーリに去られたハヌーヴァーは、生きる気力を失っていた。
ドュロクとエスタンプとサンディたちは、密かにモーリを迎えるため、荒くれ者の住む<信号の荒地>へと向う。だがモーリのならず者の兄たちと、モーリに横恋慕するレフマンの邪魔が入る。サンディたちは首尾よくモーリを救出できるのか?そして、約束を交わしていた結婚式の日、深夜12時の時鐘が鳴る・・・。

********************

ロシアの作家アレクサンドル・グリーン(1880-1932)が、1925年に発表した冒険小説。作者は生涯に400篇近い短篇と、7篇の中・長篇小説を書いたが、ソ連時代には社会的に圧殺され、彼の死後のペレストロイカ以降に再評価が高まったそうです。

黄金の鎖の伝説とか魔力、呪いといった話・・・ではないです。
海賊の遺産、奇怪なカラクリ迷路、対話する自動人形、陰謀、ロマンス・・・。冒険小説なのだけれども、目前にある社会と関わりつつ、なおも未知なるものへの憧れや夢を抱き求め続ける、という<夢見る力>を信じることにおいて私はファンタジーだと思います。

事件を通じて16歳の孤児サンディは、自活への道を得ることができるようになった。この作品は大人になって出世したサンディによる懐古譚として語られているんです。
彼が人並みの生活と出世ができたのは、16歳時の館での事件で己の信ずるままに行動し、仲間を信じて愛したから。
しかし時は過ぎ、当時の仲間はバラバラになり、二度と会えないであろう者、年老いた者もいます。社会もサンディ自身の状況もどんどん変わっていくけれど、それでもサンディは少年時代に夢見ていたトキメキを忘れません。

古典的な筋立てに加えて、ロマンチシズムへの傾向が顕著。この作品におけるロマンチシズムとは、ロマンティックでドラマティックなストーリー展開ということもあるけれど、どんなことがあっても夢や理想を信じ続けるということ。
とまあ、作者の理想はわりと好みなのですが、複雑な現代においてはストレートすぎて甘い小説と思われるかもしれませんね。それよりも、道具立ては魅力的なのに、それが効果的に扱われていないのが残念。黄金の鎖がもっと謎めいて、作中の要となるべく扱われたらよかったのに。(2002/9/4)

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