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リッスの船/アレクサンドル・グリーン

リッスの船
アレクサンドル・グリーン

My評価★★★

訳:深見弾
『SFマガジン1976年8月号(213号)』所収


架空の港町リッスを舞台にした短篇。ショートショートというべきか、とても短いです。
武装した海賊船から逃れてリッスに辿り着いた5隻の船。皆早く出航したいのだが、海賊のせいで足止めをくらっていた。
4隻の船の船長たちは顔なじみだが、<フェリツァタ>という船については誰も何も知らなかった。ウワサによると金を積んでいるとか。
4人の船長は酒場で顔を突き合わせ、思案に暮れていた。ビット=ボーイさえいれば出航できるのに、と。
そこへビット=ボーイが現れた!

ビット=ボーイは誰からも好かれる水先案内人の青年で、彼にさえ案内を頼めば、どんな危険な目にも遭わず、遠国の危険な場所でも正確で無事に通り抜けることができる。そのため船乗りたちから、「幸運をもたらす男」と呼ばれていた。

ビット=ボーイは誰を案内するか、4人の船長たちにクジで決めさせ、夜半に船で落ち合うことにした。その足で恋人レジの家へ向かう。だが、彼がレジに会うのは別れのためだった。
ビット=ボーイは<フェリツァタ>号へ乗り込み、船長のエスキロスに会う。エスキロスと船員たちは、自由気ままに世界中を航海しているという。ビット=ボーイは<フェリツァタ>号の仲間となる。でも、いったいなぜ?

********************

誌面では『ソッスの船』となっているのですが、写植ミスだろうと思います。他の作品ではリッスだし、邦訳作品リストでもリッスの船となっているので、そちらに合わせました。リッスは、他の作品でも舞台となっている国際的な港湾都市名。

アレクサンドル・グリーンは、厳密にはファンタジーでもSF作家でもなく、そのような作品は少ないのだとか。
この短篇では、リッスが架空の町という以外、幻想的なところはまったくないです。
ビット=ボーイは冒険に憧れて、何もかもを捨てて<フェリツァタ>号の仲間となるかのようで、そうした気持ちもあるようだけれど、実は苦い短篇なのです。

船仲間に「幸運をもたらす男」は、自分自身の幸運を掴むことは出来なかった。いえ、これまで他人のために海を案内してきた男が、今度は自分自身のために海に出る・・・。そう受け取れなくもなく、おそらく後者だろうと思うのだけれど。
彼の人生は挫折なのだろうか、それともこれで夢が成就するのだろうか。どちらなのだろう。冒険ロマンと憂愁が同居し余韻をひきずる短篇でした。(2011/7/26)

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