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芸術家列伝2/ジョルジュ・ヴァザーリ

芸術家列伝2 ボッティチェルリ、ラファエルロほか
ジョルジュ・ヴァザーリ

My評価★★★★☆

訳:平川祐宏・小谷年司
白水uブックス(2011年7月)
ISBN978-4-560-72123-0 【Amazon
原題:Le vita de' piu eccellenti pittori,scultori e architettori(1550)

目次:ボッティチェルリ/マンティーニャ/ジョルジョーネ/ラファエルロ/アンドレーア・デル・サルト/ティツィアーノ/ヴァザーリにたどりつくまで/訳注


芸術家列伝21巻は初期・前期ルネサンスの画家と画業を取り上げていましたが、2巻では盛期ルネサンスの画家と画業について。3巻はダ・ヴィンチとミケランジェロの二大巨匠だそうです。

1巻から続けて読んで図版を観ると(既刊の上製本よりも図版を多くしているとのこと)、時代を経るごとに後人の画家は先人から様式や技法を学び改善して、ルネサンス絵画がどのように発展してきたのかよくわかります。
この巻まで読んでみて、「列伝」は伝記なのだと思いました。絵画評論的な部分もあるけれど、ヴァザーリの鑑識眼は芸術を語るだけのことはあるとは思うのですが、鋭さは感じられないといったところ。列伝の本領は伝記なのでしょう。

ヴァザーリはボッティチェルリの作品は好みでないためか、褒め言葉は儀礼的で素っ気ないんですよ。
ラファエルロの章と比べると、扱い方の相違がよくわかるんです。内容も目新しいことはないし短いしで、ボッティチェルリの作品についていろいろ識れるかと思っていたので残念です。
ラファエルロの項からはヴァザーリと同時代の画家なので、ヴァザーリのペンがのってきて、画家の性格や画風についてなどがより詳しく書かれているんです。
ヴァザーリにとってリアルタイムの画家たちについてペンを走らすとき、それまでの当たり障りのない文章とは打って変わり、ヴァザーリの感情が露出。感情豊かに描写されることで、画家たちの気質が浮かび上がってくるんです。あくまでもヴァザーリの視点によってですが。

ヴァザーリはラファエルロをとても褒めるのですが、それだけによく研究しているようです。
ラファエルロはミケランジェロやダ・ヴィンチには及ばなかった。だからこそミケランジェロに追随せず、独自の様式を築き上げるべく努力していった、というようなことをヴァザーリは述べています。
ラファエルロの絵には優美さがありますが、それは画家本人の気質だったようです。また、画家仲間や自分の工房の弟子たちといった、人を使うのが巧みだった様子。
多くの仕事をこなしていたようですが、当時は仕事を請け負って工房の弟子たちが作業をするのだから、工房主には仕事をとってくる交渉力や統率力などの経営手腕が求められると思うのです。
アンドレーア・デル・サルトの項で書かれているけれど、デル・サルトは仕事を安く叩かれていたそうですが、ラファエルロは法王や諸侯の仕事をしていて有名だからというのもあるけれど、交渉が巧かったのではないかな。

ヴァザーリはアンドレーア・デル・サルトに複雑な感情を抱いて、大画家となれるだけの技量をもちながらも、お人よしで気弱な性格ゆえに絵画の世界で傑出しなかった、というようなことです。
ヴァザーリには、才能がありながらも出世できず生活に苦労しているデル・サルトがもどかしかったようですね。
主な原因をデル・サルトの妻に帰していて、この妻に対してヴァザーリは反感を抱いているのですが、ヴァザーリはデル・サルトの元にいたことがあるので、よく知っていたわけです。
ヴァザーリとデル・サルトの生きた時代は、1527年にローマ掠奪(サッコ・ディ・ローマ)、1529年にはフィレンツェが包囲されるなど不穏な時代。包囲戦の最中と、包囲が解かれた後のエピソードも書かれているんです。歴史を踏まえて読むとリアル感が感じられるんですよ。

ティツィアーノの項では、ミケランジェロはヴァザーリに、ティツィアーノの色彩を様式を褒めつつも、ヴェネツィア派はデッサンを学ぶことをしないと語ったそうです。ヴァザーリも同意見で、これだけの天賦の才を持つ画家の唯一の欠点とみなしていたようです。
ティツィアーノにしろデル・サルトにしろ、画家としてはヴァザーリより秀でていることは否めません。そのことをヴァザーリ自身、認めているかのように感じられるんです。
彼らには、ヴァザーリがどれほど研鑽を積んでも手中にすることが難しいであろう生まれつきの才能があり、彼らが望み努力さえすれば一流の大画家となれるのにそれをしない。そのことをヴァザーリが惜しでいるように思われてなりません。
ティツィアーノ作品に対するヴァザーリの評価はときどき辛辣になるけれど、それはティツィアーノを認めているがゆえの苦言だと思うのです。

正直言って、1巻から読んできてヴァザーリの文章の印象は、凡庸というわけではなく一定のレベルにあるように思われるけれど、些か精彩に欠ける感じがしていました。
それが同時代の画家になってからは、感情がこめられて面白くなってくるんです。それは、生身のヴァザーリが感じられるからだと思います。(2011/7/29)

芸術家列伝1ジョット、マザッチョほか
+芸術家列伝2 ボッティチェルリ、ラファエルロほか
芸術家列伝3 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ

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