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デトワイラー・ボーイ/トム・リーミイ

デトワイラー・ボーイ
トム・リーミイ

My評価★★★★

訳:伊藤典夫
新潮文庫『SF九つの犯罪』所収(1981年8月)[絶版]
ISBN4-10-218601-8 【Amazon
原題:The Detweiler Boy(1977)


探偵バートラム(通称バート)・マロリーの元に、情報屋ハリーからすぐに来てくれと電話があった。
ハリーは同じホテルで暮らす若者アンドルー・デトワイヤーの秘密を知ってしまった。その秘密はどうやら人に知られると都合の悪いことらしい。
マロリーは接客中だったので抜け出せず、2時間後にハリーの部屋へ着いたが、そのときにはハリーが死んでいた。ハリーの死の直後、アンドルー・デトワイヤーはホテルを引き払っていた。だが、デトワイヤーには完璧なアリバイがあった。

デトワイヤーは推定年齢20~23歳。天使のような顔と純心無垢な性格の彼は、知り合った人々の誰からも愛されていた。しかし、背中に瘤があるというのだ(つまり「せむし」)。そして、何かの病気で一時的に苦しくなることがあるらしい。

マロリーがデトワイヤーの行方を追っていると、デトワイヤーが移り住んだ界隈で、それぞれ死因は異なるが三日に一人死者が出ていることに気づく。しかしデトワイヤーにはすべてにアリバイがあった。
マロリーはデトワイヤーのアパートを突き止め潜伏し、彼に接近して親しくなる。マロリーには彼が犯人とはどうしても思えないのだが、デトワイヤーの部屋のタンスに隠れて様子をうかがう。
天使のように純粋無垢なデトワイヤーの謎とは?その正体は?!

********************

アシモフ他編のアンソロジーに収録されている短篇。
トム・リーミイ(1935-1977)の活動期間はきわめて短く、最初の活字になった作品が文壇で注目されたのは1974年、1977年には心臓発作で亡くなっている。
作品そのものが少ない上に、邦訳はこの短篇と別訳者による「デトワイラー・ボーイ」を含む短篇集『サンディエゴ・ライトフット・スー』、長篇『沈黙の声』だけらしい。

現代ロサンジェルスのダウンタウンを舞台に、ハードボイルドな探偵マロリーが遭遇した奇妙な事件。
事件の解明やそのプロセスより、デトワイヤーの存在彼の秘密に重点が置かれています。SFかどうかは意見の分かれるところ。私はSFとは思わなかったけど。怪奇小説の趣きがあるように思います。

天使のようでありながら畸形のデトワイヤーは、美と醜の両方を体現しているんです。天使的であると同時に異形であるデトワイヤーのキャラクターは、長篇『沈黙の声』の少年エンジェルに共通しています。リーミィ特有の、イノセントな少年の一バリエーションではないのかな。
永遠に無垢なる少年のようなデトワイヤーは、その畸形さゆえに世俗から隔絶されています。身体的というだけではなく、天使のようであることにもよって、俗世間から浮いてしまう。
でも作者は、デトワイヤーを忌むべき者としてではなく、彼が抱える悲哀をことさら強調するのでもなく、むしろ誰もが彼を愛しむように描いているように思われるんです。(2003/4/20)

サンディエゴ・ライトフット・スー

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