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サマータイムソング/アイリーン・ハース

サマータイムソング
文・絵:アイリーン・ハース

My評価★★★★★

訳:渡辺茂男
福音館書店(1998年6月)
ISBN4-8340-1546-7 【Amazon
原題:A SUMMERTIME SONG(1997)


暑い夏の夜、ルーシーのもとに誕生パーティーの招待状と、魔法の紙帽子が届きました。早速ルーシーが紙帽子をかぶると、体が木の葉ほどに小さくなりました。
ルーシーは小鳥のタクシーに乗って、パーティー会場へ向います。途中、ねずみの奥さんが急いでいるのが見えました。新しい帽子を作っていて、旦那に置いていかれたんだって。
ルーシーはねずみの奥さんを乗せてあげ、今度はシャクトリ虫を乗せて、置き忘れ去られた古い日本の人形も乗せてあげ、みんなで誕生パーティーへ向います。

月明かりの射す庭では鳥や兎、ねずみにカエル、虫たちが集まって、楽器を吹き鳴らしダンスが始まりました。
コオロギは夏の歌をうたい、芋虫たちはクローバーの蜜を勧めて回ります。みんな頭に花や紙の帽子をかぶっています。
音楽が終わると、2尾の亀がバースデー・ケーキを背中に乗せて運んできました。そのときフクロウがやって来て、集まったみんなを食べようとしたのです!

********************

ハース版「真夏の夜の夢」と言いたくなるほど、幻想的な絵本です。
小鳥のタクシーがいい。どうして空を飛ばないのかというルーシーの質問に答える小鳥のセリフにニンマリ。お話作りがうまいなぁと思いました。お話は楽しいのですが、なんといっても見ものは絵!
独特の華やかさかぎありながらも落ち着いて、どこかレトロさのある色彩と東洋趣味が絶妙にマッチ。絵本画家というよりもイラストレーターとしての腕前が窺えます。
私は特にルーシーが小鳥の咥えた花の枝につかまって、パーティーから帰る場面が好きです。黒い背景にふわっと浮き上がる繊細なタッチ。絶品です!

絵の鑑賞方法には、一つは外部から全体を俯瞰する、もう一つは絵の中に入って眺めているような感覚の2種類があると思うんです。この絵本は前者で、外部から叢をかき分けて、そっと秘密の小さな世界を眺めている感じがするのですよ。
そこは見知った小鳥や虫たちがいて、私たちの日常生活の延長線上にある世界。庭の片隅での誕生パーティー、それは真夏の夜だけの秘密。思わず庭(うちにはないのですが)の隅をのぞいてみたくなります。

冒頭でルーシーは何の抵抗もなく紙の帽子をかぶってパーティーへ出かけます。まるでこれまで何度も出かけたことがあって、すでに慣れているかのよう。
帰ってきたルーシーを、おばあちゃんは何の質問もせずに迎え入れます。その姿は、おばあちゃんもパーティーへ出かけたことがあり、ルーシーがどこで何をしていたのか百も承知、という感じがします。
現実の世界から魔法の世界への移行がスームズで、何の抵抗もなくごく当然のように行われる。ルーシーとおばあちゃんにとっては、起こり得るべくして起こったことであり、魔法でも不思議でも秘密でもなんでもないと言っているかのようです。
真夏の夜の庭というものは、ルーシーにとっては不思議ではないけれど、普段とは違う愉しみがあって当たり前、なのかもしれませんね。ひとときの夢見る時間を与えてくれる絵本です。
暑い夏の夜、一服の清涼剤に。(2002/7/20)

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