スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

芸術家列伝3/ジョルジュ・ヴァザーリ

芸術家列伝3 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ
ジョルジュ・ヴァザーリ

My評価★★★★★

訳:田中英道・森雅彦
白水uブックス(2011年8月)
ISBN978-4-560-72124-7 【Amazon
原題:Le vita de' piu eccellenti pittori,scultori e architettori(1550)


目次:レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ/ヴァザーリと二大巨匠(田中英道)/訳注


芸術家列伝3最も読みたかったルネサンスの二大巨匠ダ・ヴィンチとミケランジェロの巻。
なるほど、後世の美術史家はこれを叩き台にしていたんですね。列伝が基本的な資料といわれるのに納得しました。
1巻から順に読むとイタリア・ルネサンス絵画の発展の流れを知ることができるのですが、せめてこの巻だけでも読んでみてと言いたい。少々瑕瑾はありますが、イタリア美術に興味があるならば欠かせない巻でしょう。

レオナルド・ダ・ヴィンチ
ダ・ヴィンチについては、巨匠のわりにページ数が少ないのが以外でした。でも、これを読むと一通りのことがわかります。不正確なところはありますが。
ダ・ヴィンチが人体に興味をもっていて解剖時にスケッチしたことやその画、鏡文字を使っていたことなどが伝えられています。こうしたことは今となっては目新しくはないのですが、幻の名画「アンギアーリの戦い」について知ることができました。

「モナ・リザ」のモデルを、ジョコンド夫人と言い始めたのはヴァザーリだったんですね。それが現代まで伝わってしまったわけですが、モデルはイザベラ・デステだというのが通説です。
そもそもヴァザーリは、モナ・リザを目にしてはいないんですよ。このことはモナ・リザの絵の描写の誤りからハッキリしているんです。まあ、いまさら観ていないとは言えなかったんでしょうねえ。これらについては「ヴァザーリと二大巨匠」で触れられています。

ヴァザーリはダ・ヴィンチの画のほとんどを直接目にしていないと思います。ヴァザーリ(1511-1574)はダ・ヴィンチ(1452-1519)より後世の人だし。
ダ・ヴィンチはほとんどをフィレンツェ以外で活躍し、作品も各国に分散しているので(当時のイタリアは君主国家が林立していたので、ローマやミラノも外国になります)、ヴァザーリは目にする機会がなかったのでしょう。
しかも未完成の作品が多いことだしね。こうしたことから、ダ・ヴィンチについては、あまり書きようがなかったんじゃないかと想像するんですけど。

ミケランジェロ
ミケランジェロ(1475-1564)については、これまでにないほどページが割かれているんです。ヴァザーリが本当に書きたかったのはミケランジェロ伝ではないかと思われます。それほど他の画家とは扱いが異なり、内容が充実しているんですよ。
ヴァザーリはミケランジェロを尊敬していて、ミケランジェロもまたヴァザーリに重きを置き友情を抱きいるのです。

長生きしたミケランジェロは数代の法王に仕え、サン・ピエートロ大聖堂建立の仕事を17年間かけて担うのですが、隙あらば彼を追い落とし貶めようとする他の芸術家たちによって、ちっとも進まない。芸術家たちのいやがらせや、法王と良好関係を築くことの難しさなどで、神経をすり減らすよう。
高齢になっても完成させるべく奮闘する姿から、非常に強靭で強烈な意志力と忍耐力の持ち主だというのがよくわかるんです。
また、ユリウス二世墓廟の建立は、法王が代わるごとにどんどん送れるとともに次第に規模が縮小されていくのですが、その過程もよくわかりました。
ミケランジェロがどういう性格の人であったか、ヴァティカンでどのような仕事をし、どんな苦労をしたのかよく伝えています。フィレンツェの芸術家たちによる盛大なミケランジェロの葬儀の様子も書かれています。
後世の私たちが、同時代人のヴァザーリによって生身のミケランジェロを窺い知ることができ、当時の人たちがミケランジェロをどう思っていたのかがわかる、非常に貴重な著作です。

ただ、ヴァザーリがミケランジェロの芸術観をどの程度理解していたのか疑問を感じました。
ヴァザーリがミケランジェロ作品を描写する様は、建築家の目によるのではないか。ヴァザーリの興味は、建築と内装のデコレーションに向かっているような印象を受けるんです。
ミケランジェロと最も親しいと自認していて憚らないのに、ミケランジェロの作品がどのような思想に基づいて表現されているのかミケランジェロの芸術の思想的な面、新プラトン主義についてまったく触れていないのです。このことについても「ヴァザーリと二大巨匠」で語られているのですが、やはりヴァザーリが新プラトン主義の教養に欠けていたとしか思えないんですよ。
ちなみにミケランジェロの芸術観についてはパノフスキーの『イコノロジー研究』がおすすめ((下巻「新プラトン主義とミケランジェロ」)。

私は、ヴァザーリは新プラトン主義の知識が欠けていたというよりも、興味がなかったんじゃないかと思うんですよね。ヴァザーリの時代はマニエリスムが主流なので、新プラトン主義はもう廃れていたんじゃないのかな。
もっとも、ヴァザーリがミケランジェロの芸術観を語ってくれないという不満はあれども、本書は伝記であって美術批評ではないのだから。(2011/8/23)

芸術家列伝1 ジョット、マザッチョほか
芸術家列伝2 ボッティチェルリ、ラファエルロほか
+芸術家列伝3 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへにほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

H2

Author:H2
My評価について
=1ポイント
=0.5ポイント
最高5ポイント

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。