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花になったこどもたち/ジャネット・テーラー・ライル

花になったこどもたち
ジャネット・テーラー・ライル

My評価★★★★

訳:多賀京子
カバー画・挿画:市川里美
福音館書店(2007年11月)
ISBN978-4-8340-2177-6 【Amazon
原題:THE LOST FLOWER CHILDREN(1999)


母親を亡くした9歳の姉オリヴィアと5歳の妹ネリーは、父親の仕事の都合で夏の間、ミンティーおばさんの家で暮らすことになりました。
ミンティーおばさんは園芸が得意だったそうですが、いまはやめてしまったので、古い庭は荒れ放題。姉妹は家の中で、二人きりで過ごします。
ミンティーおばさんは、外に出たり、友だちを作るようにすすめるのですが、姉妹は頑としてききません。
ある日、ミンティーおばさんは二人に、庭である花を探すのを手伝ってくれるよう言いました。姉妹が花を探していると、土の中から陶器の美しい青いティーカップが出てきたのです。

オリヴィアはおばさんの蔵書の中から、昔この家に住んでいたという作家のエリス・ベルウェザーの本をみつけした。物語の舞台はこの家の庭。
物語では、庭に住み着いた性悪な妖精たちが、パーティーをしていた子どもたちを花に変えてしまったというのです。魔法を解くには、パーティーで使われていた青いティーカップ全部とティーポットが必用だというのです。
ネリーとオリヴィアは、庭でティーカップ探しをするのですが・・・。

********************

ジャネット・テーラー・ライルは、1947年、アメリカのニュージャージー州生まれ。ミンティーおばさんの庭は、作者の家の庭がモデルなのだそうです。
花が咲き乱れる庭と、庭の秘密、ティーカップの魔法ど、古風なイギリスの童話のようです。一方、母親を亡くしてから頑なに二人きりの世界で過ごす姉妹と、その父親との関係はとても現代的です。

姉妹が幼いからか、たんに心配をかけたくないからか、父親は二人に本当のことを隠して伝えてくれない。たぶん子どもには何も理解できないと思ってるのでしょう。
しかし、そのことが二人(特にオリヴィア)を、余計に不安にさせるのです。これでは、父親と気持ちが通じ合うわけがありませんよね。

不安から自分たちを守るために、周囲との接触を排除して、二人きりで過ごす姉妹。けれども、ティーカップを探すことで、二人はそれぞれ変わっていくんです。自分たちだけの世界から、外の世界へと目を向け始めるんです。父親との関係も変わっていきます。
姉妹を変えたのは、古い庭の魔法?いいえ、ミンティーおばさんの心遣いでしょう。
ところで、なぜ庭からティーカップが出てきたのでしょうか?花になった子どもたちは、本当に居るのでしょうか?それはラストでのおたのしみ。

メルヘンと現代家族の抱える問題が、見事に融合されています。現実とファンタジーの垣根を軽々と越え、その狭間に惹き込んでくれる作品だと思います。
読後には穏やかな気持ちになり、心地よい余韻を感じました。まるで私自身がこの古い庭に居て、穏やかな陽射しと緑に包まれているかのような心地よさ。そんな居心地の良さを感じる物語でした。(2009/5/4)

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