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精霊たちの庭/M・L・カシュニッツ

精霊たちの庭
M・L・カシュニッツ(マリー・ルイーゼ・カシュニッツ)

My評価★★★★☆

訳:前川道介
カバー画・挿画:飯野和好
ハヤカワ文庫FT(1980年12月)[絶版]
コード不明 【Amazon】
原題:DER ALTE GARDEN(1975)


引っ越してきたばかりの9歳の男の子と8歳の女の子の兄妹。二人は家の裏側にある、木々の生い茂った古い庭を探検したくてたまりません。でも鉄条網があるので、入り込むことができないんです。春になって、兄妹はやっと庭に入り込むことができました。

二人は面白半分に庭を荒らし、花の茎を折り昆虫たちをいじめ、小鳥を矢で射り、木々をナイフで傷付けたり・・・。
その罪で子どもたちは、多くの小動物や昆虫、木と花の精に取り囲まれて、庭を荒らした罪によって裁判にかけられました。痛めつけられて重症を負った小動物と昆虫と花たちは、兄妹を死刑にしようとするのです!
でも、ブナの木の婦人は子どもたちを哀れんで、条件付きで執行猶予を与えます。
太陽が昇るまでに「地の母」をみつけ、「海の父」のところへ行き、「太陽の歌」を聴くことができ、「風の塔」でお客になることができたら、処罰されずに釈放されるでしょう、と。

子どもたちは四大元素の精霊の手を借りて旅に出ます。まずは姿をとても小さくされました。
これから目差す場所は、人間の大きさのままでは行けないところだし、人間の大きな目では旅の途中で出会うものを見ることができないからです。
兄妹は自然界に存在する様々な生と死、歓喜と悲哀を潜り抜けていきます。生と死、やがてまた巡りくる生という命の連環を知ったのです。
夏が過ぎ秋が過ぎ、やがて季節は冬になりました。

********************

ドイツの詩人・作家マリー・ルイーゼ・カシュニッツ(1901-1974)による、生命の尊さを説いたメルヘン。
あとがきによると第二次世界大戦の最中に書かれ、彼女の死後35年が経って発見された作品なのだそうです。戦争時だったら発禁の憂き目にあったのでは・・・と思われる箇所がありました。

作者は詩人なだけあって、特に絵画(童画)のようなビジュアルな描写力に優れています。どの場面も美しい。できればカラーの挿画付きで読みたいです。
甘いだけのメルヘンや、ひたすら空想的な小説ではなく、幼い兄妹が苛酷な旅をして成長する様が描かれています。辛いだけではなく、愉しさもあるんですよ。
観念的で神秘的な自然観によってお話は展開します。この作品の自然観は、東洋人にはなじみやすいのではないでしょうか。
しかし、いかにもドイツの小説らしく、ともすれば鼻につくほど教育(教訓)的なところもあるんですよねえ。
それはともかくとして、童画的な美しさを堪能したい本です。私は球根おばさんが好きですね。娘ではなくておばさんというところが球根という形にビッタリ。(2002/5/25)

追記:2004年5月、同学社から田尻三千夫による新訳『古い庭園     メルヒェン』Amazonが刊行されました。

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