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にぐるまひいて/バーバラ・クーニー

にぐるまひいて
文:ドナルド・ホール,絵:バーバラ・クーニー

My評価★★★★★

訳:もきかずこ
ほるぷ出版(1980)
ISBN4-593-50139-3 【Amazon
原題:OX-CART MAN(1979)


3月、楓の樹液を集めて、煮詰めて楓砂糖を作って木箱に詰めます。
4月には、羊の毛を刈って糸に紡いで織物や編物をします。父さんが刈り取った羊の毛を袋に詰め、母さんが紡いでショールを、娘はミトンの手袋を編みます。息子は白樺の箒を作りました。
みんなでジャガイモやリンゴを育てます。

10月になると父さんは、いろんなものを荷車に積んで牛にひかせて、丘を越え谷を抜け農場や村を越えて、ポーツマスの市場へ売りに行きます。10日がかりでポーツマスの市場に着くと、リンゴを詰めた樽も荷車も牛も、すべて売りました。
そうしてポケットをお金でいっぱいにして、新しい鉄鍋を買い、娘にはイギリス製の刺繍針、息子にはナイフ、家族みんなのために薄荷キャンディを買いました。
買った物を持って、また谷や小川や丘を超えて家に戻ります。

冬中、父さんは荷車を作ったり屋根板を切り出します。母さんは亜麻をリンネルに仕上げ、娘はイギリス製の針で刺繍をし、息子は箒を作ります。そしてみんなでロウソクを作るのです。

********************

1980年度、カルデコット賞受賞作。
19世紀初頭のニューイングランド地方に住む家族の一年を描いた絵本です。
何もかも自分たちの手で作っていた時代には、家族みんなが働いていました。息子も娘も、自分たちにできることをして手伝っています。そんな家族の姿は、いまでは見ることはないでしょうね。
文章は簡潔ですが、ところどころにユーモアがあります。いえ、全体がユーモアで包まれていると言えるでしょう。訳にもよるのでしょうが、そっけないほど簡潔な文章を読むと、クーニーの絵が意外に簡潔な絵であることに気づかされます。
簡潔というと語弊があるのですが、情報過多ではなく情緒に流されすぎない絵とでも言うか。ですが息詰まる印象はまったくなく、谷に住む家族の生活を温かな視線で描いています。
自然とともに家族で協力して生きる素朴な姿に、なぜかしら郷愁を誘われます。

現代の世生活からすれば、何をするにも不便な時代。蛇口ひねれば水がでるわけではなく、当然お湯もでません。テレビなんてもちろんありません。電気・ガス・水道がないのだから。でも、溢れるばかりのオモチャの収納に頭を悩ませなくてすむわけです。
スーパーもコンビニもありません。食べ物を得るには、作物を自分たちで育てるところから始まります。何をするにも、体を動かし時間をかけなければいけないのです。知恵も必要です。家族が一丸となって働かなければ、生きていけないのです。しかしそこに、不便であっても生活ということの本質があるような気がしてなりません。
都市化による快適さに慣れ切った私たちが失ったしまったもの、省みなくなったものは何なのか、と考えさせられました。(2001/6/20)

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No title

バーバラ・クーニー、『ルピナスさん』を読んだきりになってました。調べてみたら、翻訳があるものもたくさんあるんですね。
前に、上野の国際子ども図書館で「アメリカの絵本」という企画があったときに、たしか『ルピナスさん』も並んでいて、そのときに他の本も探せばよかったなあ、といまさらながら思いました^^

No title

jacksbeansさん

絵本も読まれるのですね。
「ルピナスさん」大好きなんです♪
クーニーの絵本はどれもクオリティが高いのですが、なかでも「ルピナスさん」と「にぐるまひいて」が、私的にはベストです。

クーニーの絵本は、古き良き時代のアメリカ(「良き」が強調されてはいるのですが)の素朴ながらも誠実に生きる人々の生活が描かれたものが多いです。
そこには現代人が失ってしまった、精神的な強靭さがあるように思います。
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