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ファウスト 悲劇第一部/ゲーテ

ファウスト 悲劇第一部
ゲーテ(ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)

My評価★★★★

訳・解説:手塚富雄
中公文庫(1974年10月)
ISBN4-12-200146-3 【Amazon
原題:FAUST(1808)


ファウスト(第一部)医学と法学、神学を研究し尽くしても、一向に知的探究心が満たされないドクトル・ファウスト。
この世界を統べているもの、そこではたらいている力はなんなのか。この世界をすべてを知ることはできず、絶望しきっていた。
そんなファウストの前に、悪魔メフィストフェレスが現れた。
満たされることのない知識欲に絶望していたファウストは魂と引き換えに、人類の最高段階に達するべく、全人類が受け得る最高最深のもの、一個人では到底達することのできない人類の自我を味わいつくしたいと願う。

メフィストによって若返ったファウストは、人生を体験し尽すために、悪魔を従えて大世界へ乗り出す。
だが、信仰篤き無垢な敬虔な娘マルガレーテ(愛称グレートヒェン)と出会い、胸を焦がすほどの恋に陥る。グレートヒェンもまた・・・。
そんな中、メフィストに唆されることもあり、ファウストは次第に身をもち崩していく。
一方、ファウストを愛するがゆえに信仰篤いグレートヒェンは罪を重ねていき、終には裁かれることに     

********************

ドイツを代表する文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832) は、詩人・劇作家・小説家・自然科学者・政治家・法律家など多彩に活躍した人物。
『ファウスト』の邦訳は数社から文庫版が刊行中ですが、なんと手塚富雄(1903-1983)訳があったんですね!!手塚訳なら読まなくちゃいけません!
氏はファウストの訳業で、1971年に読売文学賞を受賞。格調ある名訳と誉れ高いそうです。
読んでみると、さすが手塚訳。格調の高さがうかがえ、ドクトル・ファウストのイメージを損ねることなく、読みやすくわかりやすく、テンポとキレのいい訳でした。詩劇であることを意識した訳だと思います。
この第一部は、とても読みやすかったです。通常、翻訳ものは日本の作品よりも読むのに時間がかかるのですが、国産ものと変わらないペースで読めました。

原題は本来ドイツ語でしょうが、文庫には表記されていなかったため、一応英語でつけておきました。
文庫カバーの素晴らしい絵は、「レンブラントの構図によりヨハン・ハインリヒ・リップスの描いた「ファウスト」銅版画G・J・ゲッシェン『ゲーテ著作集』ライプツィヒ1790年刊より)」だそうです。

『ファウスト』は戯曲(詩劇)で、15、16世紀のドイツに実在した山師的な錬金術師ドクトル・ファウストの伝説を用いているとのこと。ゲーテ以前の時代から、ドクトル・ファウストの伝説について公刊されていたそうです。
ゲーテは1775年ごろまでには第一部の初稿の形態を得ていたそうですが、その後も手を加え続け、最終的に第一部が完成して公刊されたのは1808年。その間、第二部も手がつけられていたが、その後20年近く休止の期間があり、最終的に完成したのは1831年、ゲーテ82歳直前。ファウストはゲーテが生涯をかけた大作とのこと。

ファウストの知識欲と好奇心の旺盛さは、ゲーテその人と重なります。
どれほど知識があったとしても、この世界の全てを解明するのは人間にとっては不可能なこと。だからこそ彼は悪魔と契約を交わすのですが、ファウストは次第しだいにメフィストに感化されて堕落していく・・・。でも本人はそれと気づいていない様子。そもそも全てを味わうということは、罪をも味わうことになるのでしょう。
そんなファウストとメフィストの会話は、掛け合いになっていて、面白可笑しさがありました。
また、入れ子式にユーモラスな劇中劇が展開するのですが、なかにはゲーテと朋友シラーの敵対者への当てこすりがあったりして、詩聖といわれるゲーテも当てこすりをするんだ、と思うとなんだか可笑しかった。

一人割を食うのはグレートヒェン。ファウストを愛したがために、彼女は罪を犯して裁かれるのだから。
ファウストはグレートヒェンを救おうとするのですが、彼女は自ら裁きに臨みます。それゆえに、彼女は救われるのです。このことはなかなかに難しい命題だと思うのですが、ゲーテは理解しやすく書いています。
信仰とは、自らが自分自身の裡にもつ規律のような働きをするのかもしれません。
グレートヒェンが悲劇に突き進むところと裁きを求める箇所は、文字で読むより、戯曲なのでやはり舞台で観たいですね。

『ファウスト』は第一部と第二部を併せて一つの作品なので、第一部だけでどうこう言うのは難しい。第一部は序章という感じで、これだけでは生涯をかけるほどの大作とは思えないのです。物語はこれからが本番という印象を受けました。
第二部こそがこの作品の真髄であり、訳者の腕が発揮されるところだと思うのです。引き続き第二部を読みたいです。

しかし、なんということでしょう。その第二部(上下巻)が絶版だって!?有り得ないーっ。
邦訳『ファウスト』のなかでも、名訳といわれる手塚訳。その肝心要の第二部が絶版だなんて・・・。ブツブツ。
どうしても手塚訳で読みたいので、↓復刊ドットコムにリクエスト投票しました。
復刊ドットコム【ファウスト 悲劇第二部(上下巻)
興味のある方は投票お願いします!
投票したからといって、購入しなければいけないというわけではないので、ご安心を。(2011/9/15)

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