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アドリア海の奇跡/ジョアン・マヌエル・ジズベルト

アドリア海の奇跡
ジョアン・マヌエル・ジズベルト

My評価★★★☆

訳:宇野和美
カバー画・挿画:アルフォンソ・ルアーノ
徳間書店BFT(1995年5月)
ISBN4-19-860300-6 【Amazon


現代スペイン作家による、15世紀末クロアチアを舞台にした冒険小説。当時のクロアチアはハンガリーによって統治されていたという。
ある夜、修道院に領主・バルトール伯の使いだと言う、医師ケレメンがやってきた。ケレメンは、修道院長に極秘の荷物を運ぶために見習い僧を一人貸してほしい、今晩こっそりと出発してほしいと言う。荷物運びに選ばれたのは、貧しい農家の出という身寄りのない少年マティアスだった。マティアスは二つ返事で引き受けた。少年の利発さに、ケレメンは彼の出自に疑念を抱く。

マティアスは何が入っているかわからないまま、3つの箱を馬車に積み、森を抜けてひたすらアドリア海を目指す。一方、修道院長はケレメンの真偽を確かめるために、バルトール伯のもとへ客人マキシミリアーノを遣わせようとする。マキシミリアーノは、ケレメンがヨーロッパ一の錬金術師であることから箱の中身の見当がつき、マティアスの後を追う。
バルトール伯とその部下、伯爵に対立するガボール男爵、両方の勢力から箱を守ろうとするケレメン率いる錬金術師の一派が、箱をめぐって三つ巴で暗闘する。ケレメンを脱出させて箱を守るべく、ベネチア船がアドリア海へと向かっていた。いったい箱の中身は何なのだろう?

********************

スケールの大きさや設定などは大人向けの歴史小説となってもおかしくないところを、作者はマティアス少年を主役に据えて、簡潔な描写でスピーディな冒険小説にしている。
どこがどう違うのか上手く言えないけど、英米の物語とは異なった雰囲気が感じられる。それは『錬金術』を扱っているからというのではなく、大人たちとマティアスの対等な関係からではないかな。
三つ巴で争うさなか、マティアス自身も胸に思惑を秘めて任務を遂行しようする。だが、様々な策謀に翻弄される。そこには騙し合いや罠、死がある。そのなかでマティアスは<少年>としてではなく、大人たちと対等の存在として描かれている。
マティアスの人生は3つの箱の中身を届けて終わるのではなく、そこから新たに始まる。マティアスが幻視した未来やマティアスの生涯などを通じて露わにされる、歴史観と言うかタイムスケールの捉え方、歴史における個人の位置付けが、英米独の物語と微妙に異なるような気がする。(2001/8/13)

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